12話「バス酔い・前」 ページ13
私、二ノ瀬Aはただいま校外学習ということで隣県の自然公園へバスで向かっている。
クラスのみんなと仲良くなれているわけではないものの、レクは楽しい。
だが、ここで問題があった。
「ヴヴ・・・」
私は乗り物に弱い。
子供の頃から酔いやすく、特にバスは苦手だった。
けどそれも、隣がキャピキャピ言い合える女子だったなら少しはマシだったかもしれない。
だが、現実はそう甘くはなかった。
諏 「おい二ノ瀬、大丈夫か。飴いるか?」
頼むから黙っていてほしい。
せめて全くしゃべったことのない人だったらまだよかったのに、よりによって絡みにくい諏訪くんが隣とは。
神様は本当に私に優しくない。
「だ、大丈夫・・・ヴ」
がんばれ、A。
こんなとこで吐いたら一生の恥だ。
もう少し、もう少しだけ・・・我慢すれば・・・
「・・・っ。」
諏 「二ノ瀬、お前ホントに・・・」
「・・・だ、大丈夫だって」
いや、でもホントにこれはヤバいかも・・・
いつもに増して厳しい。
頭痛までしてきたし、もう最悪。
喉にせりあげる異物感。
手で、口元を抑えたときだった。
隣で、諏訪くんが立つ気配。
諏 「先生、バス止めてください」
・・・え?
諏訪くん、何を・・・
諏 「俺、歩いて行きたくなったんで」
先 「お、お前、何言ってんだ?ほら、バスあと10分もしないで着くぞ」
諏 「それなら徒歩でもそんなにかからないですよね。
ちょうどいい」
先 「なっ・・・」
絶句する先生に答えるかのようにバスが減速し、ゆっくり止まる。
諏 「大丈夫です、ここ来たとこあるんで、道はわかります」
そういって、窓側に座る諏訪くんは、私の前を通過する。
・・・なに、急に。
私が吐きそうだから、嫌になった、とか?
まあ、仕方ないよね。ここまでのはなかったけど、こういう扱いは今までもあったし・・・
諏 「なにぼーっとしてんだよ、二ノ瀬。行くぞ」
・・・え、
「わ、私?なんで、」
諏 「先生、俺一人だと危なっかしいと思ってるなら、大丈夫です。
二ノ瀬連れていきます」
車内に響く、女子の「キャー!」という声。
先 「そーいう問題じゃ・・・あっおい諏訪!」
諏訪くんは私を引っ張り、ステップを下りてバスから出る。
先生は体をあげようとして、シートベルトに邪魔されていた。
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あかり(プロフ) - ISLAYさん» ありがとうございます!!そうなんですよー!主人公よりかわいくあれ!と思って書いております←(^^ゞ (2018年11月26日 18時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
ISLAY - 諏訪くんって、可愛いですよね。 (2018年11月26日 9時) (レス) id: a0fdea4e50 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます^^イラスト集が完結した分、こちらの更新が亀にならないよう気をつけていく所存です!← (2018年11月24日 14時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - とっても面白いです!!イラストが完結してしまったのは寂しいですが、小説も応援しております!!∩^ω^∩ (2018年11月24日 10時) (レス) id: 117c5ce46f (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - かぐやさん» ありがとうございます!!諏訪くん私も好きなんですよ~。ちょっと、いやかなり私の好みが組み込まれてます笑 (2018年10月28日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
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