11話「風邪はインフルとは別物」 ページ12
諏訪side
「風邪ひいたあ?」
二ノ瀬の顔がこれ以上ないほど歪んでいく。
諏 「二ノ瀬、顔がひどいぞ、ゴホッ」
「余計なお世話だよ。・・・で?大丈夫なの?」
心配してくれている、のか。
意外と優しいんだな。あとでメモに書き足しておこう←
諏 「ああ、そんなにひどくないから大丈夫だ。
ただ・・・稽古は少し短めにしてくれるか?」
「何言ってるの!今日は稽古休みだよ」
諏 「え、なんでだ、そんな予定・・・」
「風邪ひいてるのにやるわけないでしょ!」
諏 「・・・」
返す言葉がない。
けど、稽古を休むのは嫌だ・・・
諏 「30分でいいから・・・っ」
「だめ!」
諏 「じゃ、じゃあ15分・・・」
「絶っ対だめ!!」
諏 「・・・(シュン」
「シュンとしてもだめだからね!」
別にしてるつもりはないんだけどな・・・
毎日少しだけでも稽古をしていかないと、体がなまるし覚えられない。
そう言ったのは二ノ瀬じゃないか・・・
「あー、もうっ。・・・諏訪くん、はい」
いらいらした様子の二ノ瀬から手渡されたのは、一冊のノート。
表紙には何も書かれていない。
諏 「なんだ、これ?」
「開いてみて」
諏 「?」
首を傾げながら、表紙をめくる。
諏 「!・・・これっ・・・」
そこには、「空手上達ノート」という文字と共に、デフォルメされた俺似顔絵。
次のページからは、空手の基本から応用まで細かくまとめてあった。
"諏訪くんは足の上がりが苦手だから、このストレッチが効果的"
"ここはしっかり体の軸を意識"
そんな、細かい注意点まで書き込まれている。
色ペンはほとんど使っていなくて、俺の顔以外は絵ものっていないようなシンプルなノートだった。
でも、二ノ瀬が頑張ったことが痛いくらい伝わった。
「ほんとは、今日最終確認して、明日渡そうと思ってたんだけど・・・
今日持ってきて、正解だったね。
それ見てれば、サボってることにはならないと思うんだけど、それでもまだ強情張るの?」
口調とは裏腹に、二ノ瀬の表情は優しい。
二ノ瀬はいつだって、優しい。
「ちょっと、諏訪くん聴いてる?具合悪いの?」
二ノ瀬が、顔を覗き込んで来る。
俺は顔を上げ、二ノ瀬を正面から見た。
諏 「・・・いや、大丈夫。
ありがとな」
二ノ瀬の強さの秘密が、一つ分かった気がした。
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あかり(プロフ) - ISLAYさん» ありがとうございます!!そうなんですよー!主人公よりかわいくあれ!と思って書いております←(^^ゞ (2018年11月26日 18時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
ISLAY - 諏訪くんって、可愛いですよね。 (2018年11月26日 9時) (レス) id: a0fdea4e50 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます^^イラスト集が完結した分、こちらの更新が亀にならないよう気をつけていく所存です!← (2018年11月24日 14時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - とっても面白いです!!イラストが完結してしまったのは寂しいですが、小説も応援しております!!∩^ω^∩ (2018年11月24日 10時) (レス) id: 117c5ce46f (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - かぐやさん» ありがとうございます!!諏訪くん私も好きなんですよ~。ちょっと、いやかなり私の好みが組み込まれてます笑 (2018年10月28日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
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