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#A【奏でる】番外編 ページ32

Aのお話です!





++++


貴方side





顧 「はーい、じゃもう一回最初から」






顧問の先生の言葉で、部員が楽器を構える。




私も唾を抜いてからトロンボーンを構えた。





顧 「さっき言ったこと気をつけてね。いくよ、1、2、3、」





カウントの音の後、出だしの音が響く。




今日は、文化祭前の最後の合奏だった。




先輩達が受験を目前に控えた今の時期、全員がそろってというのはなかなか難しい。



そのため、今日で文化祭の曲を仕上げなけれはならないのだ。





顧 「・・・はい、やめて。今のとこ、トロンボーンもう少し強めに」




「「「「「「ハイッ!」」」」」」




強め、と楽譜に書き込む。





顧 「もう一回、今のとこから」





音楽室に、再び楽器の音が響く。



それが楽しくて、嬉しくて、思わず音が弾む。




・・・先生に何気に睨まれた。スミマセン。





+++++





「じゃーねー」



部 「また明日ー」


部 「ばいばーい」




部員と別れ、昇降口に向かう。




下駄箱の所に、人影があった。





千 「よ。」



「千尋も部活あったんだ!」



千 「ああ。吹部の音聴こえたから、待ってた」



「ありがと!」




別にいいのに、と言おうとして思い直す。



きっと彼氏彼女っていうのは、そういうもんじゃないだって、最近やっと分かってきた。




「帰ろっか」



千 「ああ」





並んで歩くのは今だに慣れない。・・・いや、付き合う前からこれはやってるんだけどね。



でも・・・ほら。



違うじゃん?




千 「・・・A、頼みがあるんだけど」



「ん、ん?なに?」




変なことを考えていたからか、いつもより過剰に反応してしまった。




千 「・・・・たい」



「え?」



千 「〜〜〜っ。」




聞き返したのに、顔を逸らされる。


あれ、千尋なんか顔赤・・・






千 「──・・・手、繋ぎたい」





「っえ、」






どんどん自分の顔に熱が集まるのが分かる。







「・・・っいい、けど///」






千 「・・・さんきゅ」







右手が、千尋の左手に触れる。




・・・うわ、恥ずかしい。





指が絡み、少し冷たい千尋の手がくっつく。









千 「・・・照れるな」



「・・・照れるね」









その日初めて繋いだ千尋の手は、大きくて、骨張っていた。

#やってみたかったこと→←# 【予感】



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作者名:あかり | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年8月30日 15時

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