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その人影は、両方とも女性だった。
片や、綺麗に切り揃えられた黒髪に和風の洋服を着たたおやかな女性。
立っているだけで貴族のような気品さを感じられ、その姿には存在感があった。
片や、長く膝下まで靡く白髪を三つ編みに編んだ美しく凛々しい女性。
赤と紺のツートーンカラーの服を羽織っており、裾には八卦をあしらった模様があった。
「お、お師匠様……輝夜様……」
焦ったように冷や汗を垂らす鈴仙に、白髪の女性がにっこりと笑みを浮かべた。
「ウドンゲ?
ここにはあの妖怪の術が張ってあるから自分の実力に過信するなと再三注意しましたよね?」
「はい……」
「まさか、それを忘れたと言うのかしら?」
「い、いえ……そんなことは…」
鈴仙のしどろもどろな答弁に、お師匠様と呼ばれた白髪の女性はため息をついた。
「鈴仙。あなたの実力は私も認めています。あなたの能力と体に秘めたポテンシャルは紛れもなく本物でしょう。
ですが、貴女はその実力を過信するきらいがある。
純狐の件では大活躍でしたが、調子に乗るのも大概にするように」
白髪の女性が優しい声色で諭すと、鈴仙の顔が明るくなった。
「は、はい……!」
鈴仙に微笑んだ後、白髪の女性はくるりと猟犬の方へ体を向けた。
「と、そちらの皆様。うちのウドンゲがどうもお世話になりましたね」
「……礼儀正しそうな貴女が、この玉兎に大量殺人を命じたのか」
福地が静かに言う。
背中に構えるそれは、戦場で幾多の命を屠り表彰台に上がる“英雄”の貫禄だった。
鈴仙は少しおどけた様子で肩を竦め、白髪の女性はかぶりを縦に振った。
「えぇ。少し、思い当たることがありましてね」
女性が、先ほどの温和な物腰とは信じられないような冷たい視線を猟犬らへ突き刺した。
鈴仙がひょっと声を上げる。
少し前の純狐の異変解決の時の勇ましさはどこへやら、情けなく悲鳴をあげる彼女は、欠けた満月異変の時のような永遠の魔法の解ける前のような自信の無さであった。
自信なさげな鈴仙ちゃんがとてもかわいいです。
でも紺珠伝のような過去とは違いかっこいい鈴仙ちゃんもとても好きどす。
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颯貴@東方&文スト大好き人間(プロフ) - 四葉のコトリさん» コメありがとうございます!幻想郷vsヨコハマは私の自己満妄想なので、喜んでいただけてとても嬉しいです…。稚拙な素人ではありますが、これからも読んでいただけると嬉しいです!! (2022年1月14日 19時) (レス) id: 61e081417a (このIDを非表示/違反報告)
四葉のコトリ(プロフ) - 初コメント失礼します!Pixiv見てたら見つけたので来ました!幻想郷をヨコハマが戦うなんて夢のようです!更新頑張ってください!応援しています!文章とても分かりやすいですね!長文失礼しました。 (2022年1月13日 2時) (レス) @page28 id: 9e21ae10ce (このIDを非表示/違反報告)
颯貴@東方&文スト大好き人間(プロフ) - ねこルージュさん» おk、すまねえ…。できたら教えてちょ (2021年12月19日 23時) (レス) id: 61e081417a (このIDを非表示/違反報告)
ねこルージュ - あ、ビビッドアーミーってやつやってるんだけど、その時の名前がこちらなのでyunanaからこれにかえま〜す (2021年12月19日 21時) (レス) id: f9dc735e37 (このIDを非表示/違反報告)
ねこルージュ - ありがとありがと。小説は少々お待ち下さいね〜。ツイステ六章で推しが弱るシーンを本能のままに書きなぐってるとこです…では、かけたら言うわ。 (2021年12月19日 21時) (レス) id: f9dc735e37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯貴@東方&文スト大好き人間 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/MizuhasiSatuki/
作成日時:2021年9月28日 19時