【文スト×東方】第二篇この余白はそれを書くには狭すぎる。 (ページ8)

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俺の大切な友人の首は、そう軽くねェ。

明日生きてけるかも判らん界隈だが、情けがないとは誤解でしかない。

俺は勢いよく、彼女に向かって銃を乱射した。

「撃て!! 撃てェ!!!」

俺の言葉に数拍遅れて、薬莢が地面に落ちる音が各々で響く。

「ッてててて！！
痛ッ、これ弾幕なのかよ!?」

鴉のような羽を持った女──これから鴉女(クロウ)と呼ぶ──は、翼で銃弾を防ぎながら喚いた。

「まッ…たくっ！」

クロウが地面に勢いよくブーツを突き立てると、彼女の周りに赤い鱗型の物が浮かび上がり、目にも止まらぬ速さで突っ込んできた。

360°にはちゃめちゃにばら撒かれたそれは、次々と仲間の首を穿って行った。

終いにそれは何度も繰り返され、銃を撃つものは俺だけになっていた。

俺の周りに転がる血塗れた薬莢と生首たち。

ほんのさっきまで冗談を笑い合っていた仲間はもうあちらへと行ってしまった。

「っと……残りはお前だけだな、青二才」

ニヤリとクロウが笑う。

胸にさしたインカムからは、慌ただしく仲間や上司の声が聞こえる。

「……ひとつ、聞いてもいいか」

俺は銃を地面に落とす。
ぴちゃりと音を立てたそれは、もう弾薬のないガラクタだった。

「んあ？」

「……お前は、異能力者か?」

インカムの先で、樋口さんの焦った声が聞こえる。

『逃げてくださ…！
せ…てあな…だけで…！』

───ずっと前から思っていたことだった。

俺たち下級構成員は、異能力を持ってない奴に勝つことはできない。

たとえ束でかかっても、先天的な才能(のろい)を持った芥川さんや広津さんに勝ることはできないのだ。

どうせ世の中なんて、生まれた時から強者弱者は決まっている。

非異能力者(おれ)にできることなんて、最初から限られていたんだ。

「……そうだ。
私は生まれ持っての能力者だ」

しっかりと俺を見据えて言った言葉に、俺は嘲った。

「……そうかよ」

そう言って静かに両手をあげる。

直後に、ぐしゃりと嫌な音が鳴る。

それが俺の胴体であることを知るにはもう遅すぎた。