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俺の苛つきに気づいたのか、金髪は素直に口を割った。
「…………八雲紫という女です。
地上に住む胡散臭い金髪の妖怪でした」
「お前も“幻想郷”の一派か？」
「目的は一緒です……。
八雲紫に作られた借りを返すのと、この偵察に力を貸すからここを襲えと言われただけです」
「お前の知り合いに摩多羅隠岐奈はいるか？」
「いません……ですが、八雲紫と同じ一派だとは聞いています」
すらすらと喋った金髪に、俺は足を離した。
むくりと起き上がる金髪。
「そ、それでは私は撤収させて───」
「最後に置き土産だ。
幸田は俺の部下なんだよ。
このフロアの奴も全員な。
そいつらを殺した仇、取らせてもらうぜ」
「なッ、わたしはくろこまとはちが──」
慌てて弁明しようとした金髪の頭に、思いっきりナイフを突き刺───。
───【鬼畜生の所業】───
突如、俺の後ろで風が薙ぐ。
光速で飛んできた弾かなにかに、俺は身を翻して避けた。
「おやおや、音がしてみて来てみれば、かの天下の大吉弔様が地に伏しているとは
実にいい風景だねえ」
ニヤニヤと帽子を手で掴んで歩いて来た黒髪黒翼のそいつは、金髪を見て楽しそうに笑った。
「…………見るな、このバカが」
「おーおー、口の悪うことで」
煽るかのように会話をする双方。
「侵入者が2人ってのは、どうやら本当
みてェだな」
俺がそう言って黒い髪の方を見ると、勿体ぶるように頷かれた。
「尤も。私の名前は驪駒早鬼だよ。
そっちに転がってる亀吉は吉弔八千慧な」
「誰が亀吉だ殺すぞ」
そう言って黒髪──驪駒はニヤリと嗤った。
「お前が黒蜥蜴や芥川を捻り潰したっていう馬か？」
「如何にも！
というか、私はただの馬じゃない！
私は神聖な黒き御馬なのだよ。
んまあそんなことはいいとして、黒蜥蜴の立原だったか？
あいつはかなり強いね。
我らが勁牙組に入る見込みアリだよ」
そして、勿体ぶるように驪駒がうんうんと頷く。
「それを云えば芥川もいい塩梅だね。
あれぐらいなら妖怪を名乗っても問題ない強さだ。
流石の私も連戦は堪えたよ」
そうして大きな羽をぐわんとはためかせた。
「その割には傷がねェみたいだが？」
「まーね。なんせ私は動物霊だ。
幽霊はいかなる種族の中でも一番回復能力が高いんだよ。余った霊力で魂部分を補強してやれば、一瞬で出来たてほやほやの体が出来上がりよ」
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作者名：颯貴@きっちょー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/MizuhasiSatuki/
作成日時：2021年7月18日 17時
