31 ページ33
裕翔side
待ちに待った夏祭り当日。
裕翔「侑李おはよう。今日は夏祭りだよ。楽しみだね！」
侑李「ゆーと…ぉはよ…」
小さな手が布団の中でモゾモゾと動いてから俺のパジャマの袖口をきゅっとつかんだ。
侑李「なつまつり、いけるかな……」
裕翔「大丈夫だよ侑李。だって、侑李夏祭りのために注射も検査も頑張ったもん。」
そう、侑李は夏祭りに行くために今までは駄々をこねていた治療の数々にも文句も言わず、取り組んでいた。
俺はただ、侑李の頑張りが報われて欲しいと願うばかりだった。
裕翔「何したい？」
侑李「ぼく、ゆーとといっしょなら、なんでもたのしーよ、」
酸素マスクの奥で侑李の口元が微かに緩んだのが見えた。
裕翔「俺もだよ、侑李。さ、体しっかり動くようにマッサージしよっか？」
動けないせいで大分脂肪も筋肉も落ちてしまった侑李の真っ白な腕をゆっくり揉み解す。
幸せそうに目を閉じる侑李を見て、なんだか俺も嬉しくなっていた。
・
・
・
夏祭りまであと2時間程になった午後3時。
この病院では、この日だけ特別に甚兵衛を着せてもらうことになっているから、そろそろ眠る侑李を起こそうとベッドに歩み寄った。
裕翔「侑李！甚兵衛に着替えよ？ほら、借りてきた！侑李の好きなピンクのやつ。俺は水色なんだー！」
うっすらと目を開けた侑李に借りてきた2着の甚兵衛を見せるも反応なし。
寝ぼけているのか？とも思ったが、何だか様子がおかしい。
裕翔「侑李？ねぇおしゃべりしてごらん？」
侑李「……ぅあ…んぅ」
口がもごもごと動き、発せられるのは言葉の切れ端のみ。
裕翔「侑李冗談よせよ、なぁさっきまで喋ってたろ？」
その時、侑李の頬を一筋の涙が伝った。
感情に任せて、侑李を責めてしまったことに気がついた。
裕翔「ごめん、侑李。ひか呼ぶからね」
自分のしたことにショックを受けつつ、ナースコールを押したのち、侑李の頭を撫でた。
光「侑李、苦しかったなぁ？すぐ楽になるからな？」
結局、侑李は運ばれて朦朧としていた意識も完全になくなってしまった侑李がベッドごと戻ってきた。
光「頭の方にウイルスが入っちゃって炎症起こしただけだから、薬を入れれば治るよ」
裕翔「夏祭りは……？」
光「……んー、行けないかな……」
裕翔「やだっ。行くっていった。」
何年かぶりのわがままが口をついて出ていた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 221人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凪(プロフ) - まちゃさん» 嬉しい感想ありがとうございます！はじまりのメロディ読ませて頂いているのでコメント頂けて光栄です、、！ (2020年1月25日 18時) (
レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
はっちゃん - ヒカリを読んで、0or50も読んで、最後に目頭が熱くなりました。明日読んだら…泣いちゃうかな。笑い これからも頑張ってください! (2020年1月21日 20時) (レス) id: 0d57913dc4 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - ありやまの時のヒカリから見ていましたがすごい感動しました！友達の大切さもわかります！この小説も前作もとても素敵なお話でした！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: a73d88ca23 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - なつめろさん» そのような感想を持っていただけて本当に嬉しいです、！ありがとうございます。 (2020年1月10日 23時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - 僕としーちゃんさん» 嬉しい感想ありがとうございます！次も頑張ります、、！ (2020年1月10日 23時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あむ
| 作成日時：2019年7月16日 12時
