カラフル 2 (ページ10)

今日:18 hit、昨日:6 hit、合計:47,087 hit

・ページ10

侑李side

僕がソイツの頬を1発殴ると、事が大きくなって、相手と僕と両方の親が職員室に呼び出された。

日中仕事をしている母さんは、1番最後に息を切らしながら部屋に入ってきた。

それぞれ向かい合って座ると、1番に口を開いたのは向こうの親だった。

「……うちの子に傷が残ったらどうするのかしら、こんなに赤く腫れて…」

どうやら、自分の息子のしたことは目に見えてないらしい。こちらをじろりと見遣る。

僕は、口を開かなかった。絶対に謝ってなんてやるもんかって心に決めていたからだ。

しかし、隣に座っていた母さんがスッと立ち上がる。

『……すみませんでした。うちの子が、…侑李がご迷惑をお掛けいたしました。』

『…侑李。侑李も謝んなさい。』

侑李「……なんでっ！！にーちゃんを悪く言ったのも、先に手を出してきたのも向こうだ！僕は謝らない！！」

母さんなら、僕と一緒に立ち向かってくれると思ってたのにどうして？何でそんなにすぐ折れちゃうの？…僕たちの家族が馬鹿にされたんだよ？

『……侑李！！……謝りなさい。』

侑李「……なんでよ、わからない！」

『…侑李。早く立って。頭下げるの。』

母さんに無理矢理立たされると、頭をぐいっと下げられて。……屈辱だ。

生きてきて一番の屈辱。母さんだけは、味方だと思ってたのに。

『帰るよ。侑李。』

母さんは、暗い声のトーンで僕の名を呼ぶ。ぎゅっと手首を掴まれて、半ば強引に職員室から連れ出される。

ずんずんと廊下を進んでいく母さんの背中からは、何も感情が読み取れなかった。

・