カラフル 2 (ページ4)

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侑李side

軽やかな音が耳を刺激する感覚で目を覚ます。

さっきより格段と頭がスッキリしていて、気持ち良い目覚めだ。

音の正体は、にーちゃんだったらしい。

ベッドの横に体育座りをしながら、大好きな童謡絵本に夢中みたいだ。

流れているのは何故か、季節外れの「まめまき」。

慧「ふふ〜ん、…ふん♪」

最近習得した鼻歌歌って、ご機嫌さん。しっかり顔の横で手もひらひらしてる。

曲が終わると間髪いれずに、すぐボタンを押してエンリピ。

しばらくは「まめまき」ブームか。

可愛いにーちゃんを見ていたらもっと元気が湧いてきて、体を起こす。

侑李「ん、なんだこれ。」

自分の頭からかさりと音を立てて落ちてきたのは…。

侑李「…スライスチーズ。」

何故か僕の額にはコレが乗っていたらしい。ぬるくなったスライスチーズさんにごめんなさいと謝る。

侑李「にーちゃんがしてくれたの？」

まあ聞かなくてもこんなことするのは誰かなんて一目瞭然なんだけどさ。

僕のために、見よう見まねで看病してくれたことがとっても嬉しかったし、袋ごとだったから、まぁ良しとしよう。

侑李「にーちゃん、ありがと。」

お歌に夢中でこっちなんか見向きもしないけど、ずっと僕のそばに居てくれたんだもんね。

侑李「寒くない？一緒にはいる？」

お布団をめくって声をかけると、ちらっとこっちをみて少し考えてからのそのそと隣に入ってきてくれた。

侑李「あったかいなぁ」

にーちゃんの体温で、疲れが、痛みが、癒されていく。

意識の奥で聞こえるにーちゃんの鼻歌をBGMに、再び微睡みに溶ける。

ふわふわした意識の中で聞こえるその声は、何よりの治療薬のように思う。

「すみれいろ」/ end

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