Want to live. XIII

花占い ページ10

宏太(40)光(15)慧(15)



俺は、嫌いだ。



昔からずっと。



宏太「うん、上手に食べられてるね慧。」



光「……どこがだよ、」



身の回りのことをこなせないだけで尊重されてきた弟のことが。



食べカスが至る所に散らばった机を見て、父は上手だと馬鹿げたことを言う。



光「…汚いから拭いてくれる？」



自分が思春期、だということを抜きにしても弟を見ているとイライラが募る。



昔から楽しみは全部あいつによって奪われてきた。



運動会も親子遠足も学習発表会も全部向こうが優先されて、すごいねすごいねって褒められて。



宏太「光、言い方があるだろ。」



光「…話せなかったら偉いわけ？全部馬鹿みたいに褒めて、鬱陶しい。」



宏太「……謝りなさい。」



光「言葉が分からないなら謝る必要なんてないじゃん。」



俺の言葉をきいて、父親が口を噤む。悲しそうに目線を落とした。




慧は生まれてこの方意味ある言葉なんて話したことないし、この前の発達検査で測定不可なんて言われたらしい。



だから間違ってないはずなのに、何故か少々の罪悪感に駆られて、そのまま自分の部屋に駆け込んだ。




俺たち双子の溝は歳を重ねるごとに深く深くなっていく。



父はなんとか埋めようとしているみたいだけれど、自分が更に抉っていることに気がついてない。




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