カラフル (ページ5)

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侑李side

休憩を終えて、またふらふら歩く。

ずっと手を繋いでいるのも暑くなってきて、目を離さないようにするだけにした。

にーちゃんも動きたいだろうし。

今日の夜ご飯、何にしよう。そうめんなんてどうだろう。

でも、この前家用の機械出したらにーちゃんは音にびっくりして食べてくれなかったことを思い出す。

そんな事を考えながら歩いていると、

慧「………んぁっあ！！」

俺の服の裾をぎゅうっと強く引いてくるにーちゃん。

侑李「うわぁっ、ちょっとにーちゃん。危ないってば。」

急に声を上げたにーちゃんは俺が立ち止まると、地面にしゃがみ込んだ。

不思議に思って隣に座ると、そこには蟻の行列が。

そっか。僕が踏んじゃいそうになったから、びっくりして止めてくれたんだね。

慧「……ふふっ、」

昔から、昆虫が好きなにーちゃん。蝶々を追いかけて、勝手に隣町まで行ってしまったこともある。

侑李「蟻さんはきっと、今頃にーちゃんに感謝してるよ。命の恩人だーってね。」

確かに、にーちゃんはお話できないけど。

確かに、すぐ泣くし、すぐ怒るけど。

確かに、できないことは沢山だけど。

でも、でもね。

僕は、生き物にこんなに優しく笑いかける人を他に知らない。

だから僕は、ゲームよりお金よりドライブより、にーちゃんとの時間が欲しい。

にーちゃんは、この世界でたった1人の僕の自慢のお兄ちゃん。

にーちゃんとの日々はいつだって、晴れ。

「そらいろ」/ end

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