カラフル (ページ36)

今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:85,776 hit

・ページ36

侑李side

慧「んー、」

途中までは順調だったご飯タイム。

でも10分くらいして、にーちゃんの手が止まった。
　

〈あー、冷めちゃったか。〉

にーちゃんは、料理の温度に凄く敏感。

とにかく熱々なのが好きみたいで、人肌くらいになっちゃうと大抵「あっためてほしい」とお盆を自分から離す。

この拘りは偏食よりも厄介で。

家だと温め直しが出来るから良いんだけど、特別支援学校でのご飯中はそれが通用しない。

家から持っていったお弁当はもちろん冷めているから、向こうでは殆ど何も食べずに過ごすことがザラ。

それなのに、にーちゃんは凄い動くから、身長は伸びてるのに体重は減っていくばかり。

体重が50kg台前半に差し掛かろうとしていて、僕も母さんも心配しているところ。

〈慧、これ半分食べよう。そしたらこっちの半分あっためてあげる。〉

母さんもやはり、どうにか少しは温度の低くなったものを食べられるようになって欲しいという気持ちがあるらしく必死の説得。

慧「…んーっ！」

〈分かってる。慧があったかいの好きなの分かるよ。だから、半分。これだけ食べて欲しいな？〉

おにぎりの一部をスプーンに乗せてにーちゃんの口元に持っていく。

〈あーん！〉

母さんのあーんオプションにつられたのか、小さく口を開けたにーちゃん。

母さんは早業でその隙間にスプーンをイン！

〈そう、偉いじゃん！慧！できた〜っ！！食べれたね。〉

そして、「褒めて」のドヤ顔。

頭を撫でて、沢山褒めてもらったにーちゃんはとても満足そうだ。

侑李「にーちゃんすごい！たっち！」

気分が良くなったのか、レアなハイタッチまで。

やっぱり3人で食べるご飯は格別に美味しいね。

・