ゆるしいろ ページ33
侑李side
みんな知ってる通り、どんな兄弟にも負けないくらいにーちゃんと僕はとっても仲良し。
にーちゃんの好みや行動は知り尽くしているつもりだけどそんな僕でも勝てない相手が1人だけいる。
〈慧、おはよ〜、はやいねぇ〉
慧「……〜っ、きゃっ〜…!」
そう、それは母さんだ。
今日は珍しく、母さんが1日中お家にいる休日。
いつもは僕たちのために殆ど休みなく働いてくれているから、僕とにーちゃんの学校が無い日でも家を開けることが多いんだけど今日は有給消化デーらしく。
母さんのことが特別大好きなにーちゃんは、のそのそと起きてきた寝起きの母さんに抱きついている。
〈えぇ〜、もうあそぶのぉ?まって母さんご飯食べたい〜〉
慧「…ぁあ〜っ、うぅ〜」
侑李「にーちゃん、母さん先ご飯だって。こっちで僕と遊ぼ!」
慧「………。」
一瞬こっちを見て、考えるような仕草をしたにーちゃんだったけど、ふいっと視線を戻して拒否された。
ちぇー、いつもなら僕と遊ぶの好きなくせに。
侑李「いいんだー、にーちゃんの好きな絵本僕が読んじゃお!!1人で、読んじゃうもーん。」
慧「……ぅー、ぁ、」
〈はいはい、わかったよー。すぐ食べるから待っててね。〉
何だよ。これじゃまるで僕が変な人みたいじゃないか。
大好きな絵本をもってしてもツレないにーちゃんを見て、今日はおひとり様デーだと悟った僕。
それでもにーちゃんの笑顔や声出しが増えるのは、とっても嬉しい。
ころころっと転がるように変わるにーちゃんの表情を見ていたらこっちも幸せだもん。
楽しい、がいちばん。
・
267人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あむ | 作成日時:2021年9月1日 13時