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宏太side
数十分後に目を覚ました慧だけど、あれからはパニックになる様子もなくただ自分の指先を見つめていた。
俺はそんな様子に安心しつつ、夕食の支度を始める。
今日はいろいろあって遅くなってしまったし、簡単な野菜炒め。
宏太「光〜！夕飯ーっ……って、わっ！」
さっと作り終えて、光を呼ぼうとすると扉は勢いよく開いて中から光が飛び出してきた。
俺なんて目に入らないみたいに一目散にリビングに走っていく光。…そんなにお腹空いてたのか。
元気な光の後を追って部屋に入ると、ソファに座る慧の隣に勢いよく腰掛ける姿が目に入る。
光「…みてみてこれ。宏にぃには内緒だよ？…ふふっ、これは20点で、これはぁ…、0点なの。書くとこ間違えたの。」
「…あ、こっちは字が汚いって怒られたプリントで…、」
会話に耳を傾けてみれば、くしゃくしゃのプリントを必死に伸ばして慧に一つ一つ説明していく光。
どこからひっぱり出してきたのか、…酷い点数ばっかりで、聞きながら耳を疑ってしまう。
慧「…これ、全部光のテスト、なの？」
光「…そう！普段はこんなのばっかり！100点なんて、まぐれだよ。」
慧「……っ、ふふっ、これはひどいね」
光「…でしょー！…あ、何度も言うけど宏にぃには言わないでよー？いひひっ、」
本当に数年ぶり…だった。
慧が笑った姿を見たのは。…ずっと慧の気持ちを乱さない様に慎重にやってきた俺が為せなかった事を光はいとも簡単に…。
でもそれと同時に、光だからできた事なのかも…なんて。
いい点数のテストを見せちゃダメなら悪い点数のものを見せよう、なんて単純にも程がある。
でもその単純さが逆に、慧を笑顔にしたのかもしれない。
無垢に笑う光の横で、くすりと口を覆う慧。
ただそれだけの光景なのに何故か見ていたら涙が出てきそうになった。
俺が探していた家族のカタチがそこには広がっていたのだ。
宏太「…なになにー？2人で何の話〜？」
光「…わぁっ！宏にぃ、いたのっ！？隠して！慧にぃ隠してー！」
慧「……あははっ、」
こんな日は、手抜きのはずの野菜炒めが1番美味しく感じた。
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「上書き保存」/ end
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作者のあむです。
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…そこで、到達次第、新作公開しようと思ってます。
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あむ
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新道踏切(プロフ) - リクエストお願いします！伊野尾くんが心臓病でいつも心配してくれるやん家族に反抗期で、冷たく当たる話が読みたいです(*^^*)毎回楽しく読ませて頂いてます！更新頑張ってください!! (2021年1月14日 8時) (
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作者名：あむ
| 作成日時：2020年12月19日 20時
