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黄 side


大我は、俺たちが病院にいられる間に目を覚さなかった。



代わりに、来てくれた大我のお母さんが何かを受け入れたような面持ちで俺たちに向き合い、全てを教えてくれた。




〈あの子もう、永くないのよ。〉




そんな言葉からはじまったお話は、俺たちの想像を絶するほど残酷で真っ暗で、苦しい話だった。




大我は10代ではごく稀な膵臓癌に罹患していること。



通院治療を行ったけれど、がん細胞は消えてくれなかったこと。



俺たちと音楽を続けるために、首都圏での治療を諦め、地元に留まりたいと言ったこと。



大我の体は今、がん細胞でいっぱいでいつどうなってもおかしくない末期の状態であること。



ひとつ告白されるたび、比例するように誰かの嗚咽が増えていく。




〈ほんとに大我ね、最後の大会を楽しみにしてて。皆と出たいって、何度も何度も。〉




〈そのために入院も治療も全部やめたの。ギリギリまで、できるところまでやりたいって。何でも昔から中途半端だった大我があんなに真剣な顔したの初めてで、断ることなんて出来なかったわ。〉




〈それはきっとあなたたちが、本当に大我と同じ熱量で音楽をしていてくれたからなのね。ありがとう。〉




1番辛い立場の大我のお母さんは泣いている俺たちを見て、微笑んだ。




時折、ベッドで眠り続ける大我の方をちらりと見ながら大我の意思の全てを俺たちに注ぎ込んでくれた。



緑「…っ、とまってなんて、いられねぇだろぉっ、」



慎太郎が力強く言った。



樹「練習…するぞ、っ」



樹が前を向いた。



黒「……おう。」



北斗が涙を拭った。



赤「大我、まっててね、っ」



ジェシーが立ち上がった。



黄「テッペン……とるんだろ、」



___ 6人が同じ方向を向いた。




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設定タグ:SixTONES , 病系 , 短編集
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作者名:ばにら | 作成日時:2021年10月21日 11時

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