微睡み (ページ42)

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黄 side

病院の待合室。大我が乗せられたストレッチャーが処置室に入ってもう随分と時間が経っている。

救急車に乗ったあと、更に状態は悪化して大我は2度嘔吐した。

顔は真っ青になって、救急隊の人に声をかけられても反応しなくなって。

思い返すだけで、胸が痛い。

緑「きょも、大丈夫だよね…。」

そんな光景を目にしていた俺は安易に、大丈夫なんて言えなかった。

目の前に居るのは大我だったはず。けれど、違う人を見ているのであって欲しいと願ったくらいには深刻だった。

黒「……これ、さっき見つけた。」

救急車が到着するまで、大我の鞄を漁って薬が無いかどうかを確認してくれた北斗。

北斗の手に握られていたカードは、がん専門の病院の診察券だった。

全員が俯く。

〝失敗してもへーきだって！〟

大我の根拠のない励ましが脳裏から蘇ってくる。あいつがかける言葉はいつも無責任なように見えて、皆の肩の力を抜いてくれた。

もう無理、やめたい、

そんな言葉が誰かから出たら、真っ先に言葉をかけて前を向かせたのは大我だった。

けれど今は、その存在が欠けている。

皆が自分の足元を見て、立ち止まっている。

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