◎ 1人だけど、独りじゃない [黒] ページ32
黒 side
俺の名前は、松村北斗。
年齢は21歳。
俺は、脳性まひだ。
1人では歩けない、言葉を発することさえ困難で、食事も排泄も誰かの手を借りなければできない。
つまりは、生きていけない。
けれど俺は生まれてから現在まで本当に沢山の人に支えられて生きてきた。
赤「ほくちゃーん!ひさしぶり!」
青「北斗、髪伸びたな!かっけーじゃん!」
特に幼なじみの5人には数え切れないほど手を貸してもらった。
団地で出会って、一緒に大きくなってきた。
社会人になってからは、みんな職種がバラバラだから会える機会も減っているけど今日は久しぶりに6人揃った。
俺を見つけて走ってくる5人。あっという間に車椅子の周りは5人の笑い声で満たされていく。
俺の足となってくれる車椅子は自動車会社に勤めるこーちがタイヤや乗り心地にこだわって俺のために作ってくれた特注品だし、
ちょっと個性的な服は、ファッションデザイン系の仕事をする樹がデザイン性だけで無く、脱ぎ着しやすい素材にも留意して作ってくれたもの。
慎太郎は、俺みたいな介助が必要な人の役に立ちたいとその恵まれた体格と朗らかな性格を活かして理学療法士になった。
ジェシーは俺が塞ぎ込んだとき、いつもそばに来て励ましてくれたし、
京本はこんな俺でも出来る仕事を探して紹介してくれた。
俺はこの世にたった一人だけど。
この体は、この命は、俺だけで形作られたものではない。
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作者名:ばにら | 作成日時:2021年10月21日 11時