微睡み (ページ27)

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黒 side

次、目が覚めると俺は病院にいた。

外はもう真っ暗で月が浮かんでいる。

学校中大騒ぎだっただろうなぁ。来週学校行きにくいな。

そんなことをぼんやり思うと、視界の隅にあの人を捉えた。

『…じゅり、』

「やっと起きたか、あほ。」

『なんで、いるの』

時計はとっくに21:00を示している。もしかしてずっとここにいてくれたのだろうか。

「は？理由とかいんのかよ。」

『あ、いや…でももうこんな時間だし』

「ダチだからっ、…だろ。ダチが倒れて心配だから居た。それだけじゃダメなのか？」

『ごめん、樹めいわく、かけて』

やっぱり俺は、普通になんてなれないのかもしれない。どこかで夢を描いても、結局は心臓に爆弾を抱えた中学生で。

樹にこんな顔させてしまうのも俺が病気だからだ。

倒れた俺の介抱したせいで樹までいらぬ注目を集めて…。

樹の顔が見れない。やっぱり俺こんな所にいちゃいけないのかな。

「そうだよ。俺はなぁ、今日北斗が早退して散々だった！！」

「数学の課題当てられて答えられねぇし、飯も一人ぼっちだし、移動教室だって！」

「……だからもう、1人とか御免だから。来週は元気になって、学校来いよ。」

「北斗と一緒じゃねぇとつまんない。」

でも樹は、全く別の切り込み方をしてきた。

なんだよコイツ。こんなの言ってくるガラじゃないのに、こういう時は欲しい言葉をくれるんだ。

『ねぇ樹、俺の来週から車椅子になるかもしれないよ、？それでも、…』

「車椅子がなんだよ。お前が居たらそれが俺の日常だろ。」

俺、やっぱり〝ここ〟に居たい。

どんな姿になっても、〝樹の隣〟に居たい。

俺の隣に樹がいて、樹の隣に俺が居て。

それがいつの間にか俺たちの〝普通〟になっていたから。

普通の定義は、自分たちのものさしで測ることにしよう。

fin

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