51、大切なイトコ ページ1
「夏目はAが好きだから付き合ってる。Aはどう？好きだから付き合ってるの？」
「……いいえ」
「夏目はそれで嬉しいと思う？」
「……思いません」
ただいまA、赤葦から説教を受けている。
夏目と会った後に赤葦の家に直行したのは良いものの、鬼のような顔をした赤葦に逆らえる訳がない。
直様正座をする事になった。
「高校生にもなって、人の気持ちを考えられないならイトコ止めるよ」
「イトコ止めるって何？！」
「そのままの意味。俺とイトコのままでいたいなら、話を真面目に聞け」
「はい」
随分機嫌が良くない赤葦。
それもこれも全てAのせいである。
「なんでAは直ぐ付き合う訳？」
「なんでって言われても……」
「告白してくれた相手の気持ちを、全くと言って良い程考えてないから。バレーさえできればいいとか思ってるから」
図星を突かれ、Aは口籠もる。
「夏目に一ヶ月時間をくれって言われたんだっけ？」
コクコクと頷くAに、赤葦は何度目か分からぬ溜め息を漏らす。
「つまりAは、また一ヶ月夏目に辛い思いをさせるって事だよ」
赤葦の言葉はよく心に響く。
「だからと言って、好きでもないのに夏目と付き合えって言ってる訳じゃない。俺はAが好きな人と結ばれて欲しい」
何故か目が潤んでくる。
それを溢さぬように、下唇を強く噛んで耐える。
心が締め付けられる。
「A。Aの本当に好きな人は誰なの？」
優しく頭を撫でられでは、下唇を我慢強く噛んだ意味がない。
「……っ、わたし、は……私はっ！木兎先輩が好き……！」
流れた涙は止まる事を知らない。
赤葦のベッドのシーツが次第に水玉模様を作っていく。
「良くできました」
赤葦は声を殺しながら泣くAをゆっくり抱き寄せると、また優しく頭を撫でてやった。
「人の気持ちを理解するのは難しい。けどさ、自分の気持ち位は正確に理解してあげな？」
「……うんっ、」
なんと素晴らしいイトコを持ったのだろう。
Aは赤葦の背中に腕を回して、精一杯に泣いた。
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暁(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！設定も無理が無くて、夏目くんと木兎さんとの間で揺れ動くところとか、烏野との絡みとかが面白かったです！これからも頑張って下さい！ (2021年4月28日 5時) (
レス) id: 4a6264c39b (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - 続き出していただいてありがとうございました！今回も面白かったです！次回も楽しみにしてます！ (2021年1月17日 22時) (レス) id: 94d4b08854 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もやし | 作成日時：2021年1月13日 20時
