好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ50)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:116,933 hit

50、余談by木兎ページ50

あの後家に着いた木兎は、一人頭を抱えては嘆いていた。

「あぁぁぁああ！なんで好きとか言ったんだよ！」

吹っ切れたと言ったのは当の本人だ。
しかしこう一人の時間がくれば、恥ずかしさや後悔が迫って来るのだろう。

「だってあれだろ？！Aって彼氏いんじゃん！しかも俺、肝試しの時に忠告受けたじゃん！」

忠告を受けた事はいくら木兎でも分かっているらしい。

「俺ってかっこいいけどさ？告白とかされるけどさ？バレー好きじゃん？だから断るじゃん？……でもAは断りたくねぇ！」

誰にそんな疑問を投げかけているのか。
加えて最後の文は木兎の捏造である。Aが木兎に告白した訳ではなく、木兎がAに告白したのだ。
断るもなにも、向こうから願い下げって事だってあり得る。
何故そんなにも自信過剰なのか不明だ。

「……でもAの事、混乱させたよなぁ」

それは分かっていたのか、ゴロリとベッドに仰向けになる。
珍しく溜め息を吐くと、Aの笑顔を思い浮かべた。

「やっぱあの笑顔は好きだなー。あれが夏目のって考えると腹立つ！てか夏目じゃなくても腹立つ～！」

今度は勢い良くベッドから起き上がり、大きく地団駄する。

何とも落ち着きのない奴だ。
赤葦を尊敬の目でしか見れなくなってしまう。

「取り敢えず！俺はAが好きだ！だから付き合える様に頑張る！以上！」

自分の中で結論が出たのだろう。
大声で叫ぶと、ドタドタと階段を降りて行った。

「母ちゃーん！飯まだぁ？！」

「少しは静かにしてなさい！時間かかるって教えたでしょーが！」

母に怒られ、木兎はしょぼくれながらまた部屋へと帰って行った。

木兎の恋の行方、それはA次第だ。