好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ5)

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5、女バレページ5

「A。今回の相手は、理解ある人なのかしら？」

「多分そーだと思うよー？」

部活の休憩中、主将の岬が寄って来た。
ここまでも噂が回ってしまったのかと、Aは苦笑い。

「毎回そう聞くけど、そろそろいい加減にしなさいよ」

「岬姉、そんな怒んないでよ～！てか理解ない人でも、バレーには支障出さないから」

「当たり前よ。出したら締め上げるわ」

「やめてください！」

流石に姉には頭が上がらぬのか、Aは岬の目が見れない。
きっと次も同じだろう。そう本人も感じているのかもしれない。

「Aちゃんもモテるよね～。岬に劣らず」

「けど岬先輩は絶対おっけーしないっすよ」

「だから年齢＝彼氏歴なし、と」

マネージャーの巻屋がヒソヒソと話し出すと、広川、砂上と続く。

「砂も締め上げれたいのかしら」

「い、いえ、結構です……」

確かに岬もモテるが、バレーが大切で付き合う何ぞ考えた事がない。
対してAは、断る理由もないし、バレーが思い切りできればいい。こう言う考え方だ。

「A先輩ー！さっきの1分腕立て何回でしたか？！」

「200回だったよー」

「200回？！……流石副主将」

余程先程の腕立てに自信があったのだろう。日和がAにちょっかいをかけに行く。

「詩乃って馬鹿だよね」

「対して蘭と点数変わんないじゃん！数1の点数は一緒だったし！」

200回と言われても、何の疑いもなく驚く日和。
Aの嘘が分かっててこそ伊織が口を開いたのだが、日和にはもちろん分かるはずもない。

「ちょ、巻先輩助けてください！」

後輩二人が目の前で喧嘩を始め、Aは焦ったように巻屋に助けを求める。

「詩乃ちゃん、蘭ちゃん。Aちゃん困ってるからやめなさーい。ドリンクなしでもいいけど……」

そう巻屋が一言言うと、二人は何事もなかったように各自反対方向へと歩いて行った。

「全く飽きねぇな、あのイトココンビ。A家と赤葦のイトコが一番静かでいいわ」

それを見て、広川がポツリと呟いたのであった。