双子なのにね

劣等感８ ページ10

次の日の朝、愛は珍しく私より早く家を出ていた。


いつもついてくるのに。


私は不審に思いながら一人で学校へ向かった。


愛がいないことでいつもより心が軽かった。









…なのに、教室に入ってすぐ目に飛び込んできたものに私は全身が凍った。気がした。


入ってきた私を見て皆がひそひそと話している。







『間宮Aは間宮愛をいじめている』





黒板に書かれた文字。




状況が呑み込めない。

いじめている？


私が、愛を？




そんなわけない。

そんなことしてない。


思わず愛の方を見る。


既に席に着いている愛は、たくさんの人に囲まれて悲しそうな顔をしていた。



でも私には見えた。

僅かに上がった口角が。






愛だ。

やったのは、愛だ。





｢大丈夫？｣｢お姉ちゃんのくせに最低だね｣



口々に愛に声をかけるクラスメイト達。






根拠もない。

この黒板に書かれた、この字を見て、私は一気に悪者になってしまった。







ついに居場所を失った。









元々ここに私の場所があったわけではない。


今までは誰もが私をいないように見てた。







でも今は、私がこの教室にいることを誰もが許さないだろう。





私はどうすることもできず、ただ教室の入口に立ち尽くしていた。





すると、何人かの女子が近付いてきた。

本能的に体を強張らせる。









そして、近付いてきた女子のうちの一人が私の肩を突き飛ばした。

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