chapter55 ページ10
安室side
俺と松田との出会いは警察学校でのことだった。
互いに他人にあまり興味のない性格だったが、いつからかよく話したり飲みに行く仲になった。
学校を卒業してからもその関係は途切れることはなく、愚痴やら悩みなどをよく話したものだ。
その頃だろうか、あいつから例のことを聞いたのは。
「なぁ、俺に妹がいるってのは話したよな。」
その話は警察学校時代に聞いたことはあった。
母親がまだ10代の時に松田を産んだが男と別れ、その12年後に別の男とできたのがその妹。
松田が高校生の時にたまたま水族館でその子に出くわしたが、それが最初で最後だったらしい。
「あぁ、それがどうした？」
いつになく真剣な表情の松田は、煙草に火をつけ話し始めた。
「この前たまたま聞いてよ。俺の…ってかあいつの母さんが、男を家に連れ込みまくったり店に行って金大量に使わしたりしてるんだとよ。」
母親のことを聞くのは初めてだった。
10代で子供を産むくらいだ、やんちゃな母親なのだろうとは思ってはいたがそれほどだとは。
「そんで、よく夜の公園に1人の女の子がいるらしいんだけどよ。その女の子＿＿＿」
俺は直感的に松田が何を言いたいのかわかった。
「ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと会いに言ったらどうだ？その子に。」
そう言うと、松田はサングラス越しにでもわかるくらいに一瞬大きく目を見開いた。
そしてふっと少し笑った。
「あぁ、そうするか。」
「お前は考えるより行動する派だろ。」
「まぁな。」
いつも俺の背中を叩いてくれるあいつの背中を、初めて俺が叩き返した日だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 697人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なみだうさぎ(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます！！更新不定期で大変申し訳ないですが、できる限り期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月14日 1時) (
レス) id: e3d8bdb6e6 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 続編の移行おめでとうございます！私も楽しみに今後の展開待ってます。 (2018年10月13日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なみだうさぎ | 作成日時：2018年7月17日 21時
