君のヒーローになるには。vol.4

#170 ジ「るぅと母はガチで怖かった......」 ページ35

ななもりside

「あれ？なーくん？どうしてここに？」
「え、るぅとくん！？」

さとみくんの家のリビングにある椅子に座っているとさとみくんが部屋から降りてくる。

その後ろから何故か着いてきたるぅとくんがキョトンとした顔でこちらを覗き込んだ。


「僕、さとみくんと人生○ームしようと思って。丁度いいや、なーくんもしましょう！」

「...ううん。もう夜だし遠慮しとく。どうせ明日皆でやる事になると思うし」
「賢明な判断だ、なーくん。るぅとは運良すぎるからフルボッコにされるぞ」←
「はい？」


一気に喧嘩ムードに入る2人を宥め、立ち上がる。

「ちょっと今日はお母さんに頼まれたお土産をお姉さん(さとみ母)に届けただけだし...」
「おばさん(ななもり母)どっか行ってきたん？」
「うん、近所の人達と温泉に。この後るぅとくんのお母さんに届けようと思ってたんだけど...」

「あー、今日は辞めといた方が...」


俺の言葉に気まずそうに目線を逸らするぅとくん。もう慣れた事だ。一瞬で察しがついた。


「...今日家に電気付いてなかったのはそういう事ね」
「うん...ちょっと軽くテーブル壊した...」


テーブルを壊す事に"軽く"なんて言ったらダメな気もするが...それ程に今まで沢山壊したという事。


「お母さん、落ち着いてきたんだけどね...病院の先生も「治ってきてる」って。多分完治する前の暴れだと思う」

よくよく見ればるぅとくんの細い腕に痣が残っていた。

...るぅとくんのお母さんは鬱気味。
俺もそこまで詳しくは無いからあまり言えないけど...元々、ネガティブな性格だったらしい。

子供...るぅとくんを産んで、育児に疲れ病んでしまった。
でもるぅとくんと優しい旦那さん(るぅと父)の功労により、少しずつ落ち着いたのだ。


中学に上がる頃は、普段の優しい性格をした"お母さん"になれていた。

でも暴れる時は暴れて。
るぅとくんも多少の怪我を負う事がある。

...彼のお母さんは、彼を殴らない。

怪我や痣はお母さんが暴れた時の流れ弾みたいなものだから数日で治る軽いもの。
何があっても、るぅとくんだけは傷付けないようにしているという。
やっぱり、精神的には傷付けている事に変わりは無いと思うけど。

そして最近、俺はお母さんにばったり会った。

本当に落ち着いていて、髪も綺麗に整っていて。

るぅとくんや旦那さんに買ってあげるんだという物を手一杯持っていて。


やっと。前を向きだした。

るぅとくんみたいに。仮面を剥がして。

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らっきーすとぷりめんばー！

るぅとくん＆ジェルくん

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