08 :はたらく白赤血球と樹状細胞(No side) ページ9
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黒髪の白血球に会う為に樹状さんの所へ行ってくると赤血球に伝えた白血球。
赤血球はその白血球の言葉に私もご一緒していいですか?と聞いた。
「あの黒髪の白血球さんに、絶対に会うって言ったので!」
と意気込む赤血球を見てしまっては、断る理由が無いなと白血球は口角を上げた。
そうして、度々道を外れていく赤血球を捕まえながら漸く樹状細胞の所まで辿り着く事が出来た。
そこは木々が生い茂り、隙間から通る風に白血球は目を細める。
成程、確かに平和を好む彼には好きそうな場所だと独りごちる白血球を他所に、赤血球は樹状細胞に「こんにちは!」と話し掛けに行っていた。
「やあ、二人共こんにちは」
人当たりのいい笑顔を浮かべた樹状細胞は、「何かあった?」と首を傾げた。
「あ...えっと、黒い髪の白血球を探していて...」
ふわふわを手をさ迷わせながら覚束無い口調で話し始めた白血球の言葉に、樹状細胞は「ああ!」と納得したように手を合わせる。
「彼ならさっきまで一緒にお茶していたんだよ」
「さっきまで...ですか?」
赤血球が目を瞬かせ、樹状細胞の言葉を繰り返す。
それに樹状細胞は頷いた。
「うん、だから今はもうここには居ないんだ」
惜しかったね、本当についさっきだったんだけど。と眉を下げながら言う樹状細胞。
少なからず赤血球と白血球は落胆していた。
そんな明らかに落ち込む2人に、樹状細胞は何かを企てたような表情を浮かべた後、その口を開いた。
「ね、クロくんの居場所...知りたい?」
赤血球と白血球は目を見合わせた後、一緒になって樹状細胞の問いに頷いた。顔を幾分か輝かせて。
「彼が今居るのは...きっとここだよ」
そうして体内地図を開いた樹状細胞が指をさした場所は。
...腸内フローラだった。
「腸内の善玉菌とよく遊んでるみたいだし、平和だから好きだーって彼も言っていたからね」
「...!ありがとうございました!」
「あっ、ありがとうございましたー!!」
白血球と赤血球は樹状細胞に一礼して、腸内フローラへの道を走っていった。
樹状細胞は小さくなっていく背中にひらひらと手を振る。
「良かったですねぇ、クロくん。お友達が出来て」
小さな声で呟いた樹状細胞がどこまでも優しい目をしていたことは、この生い茂る木々しか聞こえていないのだろう。
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海藍 - 凄い、、、 (5月21日 23時) (レス) id: 34bd24184d (このIDを非表示/違反報告)
仁兎 - 鶴丸国永が出てニヤニヤしてしまった…えへへ (2020年7月12日 10時) (レス) id: 01ef15654f (このIDを非表示/違反報告)
まじかるれいん☆ - あああもう展開分かっちゃったふふふふ← (2018年12月30日 21時) (レス) id: 9a258b9a35 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空みや(プロフ) - ぷらんくとん。さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただきありがとうございます♪このあとの話もお楽しみに! (2018年9月17日 22時) (レス) id: 7eb3a685bd (このIDを非表示/違反報告)
ぷらんくとん。 - 更新楽しみにしてます! (2018年9月17日 11時) (レス) id: 4eb7efbf3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼空みや | 作成日時:2018年8月21日 3時