#77. ページ27
「好みだったから…」と頭をワッと掻きながら目線をそらす御幸。ちょっと珍しいものを見た感じがして面白い
『でも、好みとかじゃないけど話しかけられた時はイケメンが来たな〜とは思ったよ。倉持も』
「俺もかよ」
「…イケメンって、」
『今はもう仲良くなれて良かったの一心だね。野球部眺めてて良かった』
2年生に上がってすぐ、1人で暇だったから放課後に色んな部活を見て回っていた。
その日足を止めたのは野球部。色んな女子がいて、楽しそうに練習を見ていた。
そんな中、男1人でじっとしていると御幸に「あれ」と話しかけられた。
休憩中だったらしい、「同じクラスの奴だよな？」から始まった。
すぐに御幸と打ち解け、よくつるんでいた倉持とも仲良くなれた。
「でもさ、倉持も好きじゃん。Aの顔」
「……御幸お前…」
「ははは、暴露される側はどうだい」
『見てる分には面白いね』
「テメー！！」と御幸に掴みかかってはすぐに関節技をキメる倉持。「ギブギブ！！」と大きい声を上げながら許しを乞う御幸。
はは、とベッドの上で高みの見物。騒がしいし忙しい奴らだけど、やっぱり一緒にいるのは楽しくて好きだ。
『高校卒業しても仲の良さはそのままでお願いね』
「じゃあお前も定期的に連絡はしろよ」
『おーおー』
「どんな職業に就こうと、仲の良さは変わらずそのままだから安心しろよ」
『言うね御幸』
3人で笑い、まだまだ先の卒業についても話した。
1年後どうなってるのか、卒業式はやっぱり泣くのか、なんて色んな話題が出てきて尽きない。
まだまだ冬休み。春休みまでも数ヶ月あるのに気が早いだろうが、こんなもんで全然いいだろう。
大人になってからもずっと、この2人と大した事ない物を見て大笑いしたい。
高校の頃と変わらない関係で、偶に会ってゲームで盛り上がりたいな。
俺の1番の夢はそんなもんかな。
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作者名：宮
| 作成日時：2022年8月3日 1時
