#64. ページ14
『野球部って、クリスマス会とかすんの？』
「ああ、マネが料理作ってくれたり…でも室内で練習する奴もいるぜ」
『すげー』
「Aなら来ても歓迎されるんじゃねぇか？」
『誘われても断るよ、野球部じゃないし』
昼飯時、食堂でうどんを食べながらそんな話をしていた
もう12月、この時期にカップルは増えるだろうし告白する奴らも増えるんだろう。2人共知らない所で告白されてんだろうなぁ、なんて思いながらクリスマスの話題を続ける。
去年、野球部が寮の方で楽しそうにクリスマス会をしているのが聞こえてきていた。
まだ2人と仲良くなるずっと前、楽しそうに笑っているのが少し羨ましいと思ってしまった。
「Aは？毎年何してんの？」
『兄貴がケーキ作ってプレゼントくれる』
「お前のお兄さん何でも出来て尊敬するわ」
『手先が器用なんだよ、あと努力家。
…でも毎年2人だからなぁ、野球部みたいなはしゃぎようはないな』
毎年兄貴が作るケーキは店に出せるレベル、それを2人で食べて美味しかったね、プレゼント嬉しいね、でいつも終わる。
野球部のようにワイワイやることは無いから、高2になった今でも憧れるんだろう。
「何欲しい？」
『ん？』
「今、何欲しい？」
『え？えー…、シャーペンとか。お気に入りのを分解して戻せなくなったからさ』
「アホだろ」
『暇だったんだよ』
ヒャハ、と笑う倉持。そんな彼も俺に他になにかと問いかけてくる。
うんうん唸りながら考えるも、思い浮かぶものは1つも無い。結局首を横に振って笑い、何も無いと伝えた。
『てかシャーペンもまだあるからそんなに必要でも無いし、やっぱ欲しいの無いわ』
「物欲ねぇなぁ…」
『そういうお前らはどうよ。欲しい物』
「俺普段履きの靴、履きすぎて破れてよ」
「俺は…んー、グローブだな」
『打つ時の？』
「そうそれ」
なんかいい事聞いた。絶対にめちゃくちゃ欲しがってる奴だ、なんて思いテーブルの下でスマホにメモをする。
クリスマス前にでも買いに行こうか。好みはあるだろうけど…まぁ、自分の感性を信じよう。
3人昼飯を食べ終わると食堂を出て、気分転換にと1階の渡り廊下でだべる事に。
「5時間目、また小テスト出るらしいぜ」
『最悪』
「苦手だよなぁ、世界史」
「罰ゲーム、今回はあれな。明日の昼飯冷やし中華」
「結構キツいぞ」
『負けたらお前も食うんだからな』
そうして俺ら3人の戦いは幕を開けた。
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作者名：宮
| 作成日時：2022年8月3日 1時
