2-4 ページ47
平日の昼間といっても人通りは少なくない。
子ども2人だけでこんな時間に歩いてるだけでも目立つのに、顔を見られて気づかれた時の視線が刺さる。
俺の命を繋いでくれてる鼻に挿入されたチューブをマスクで隠しても違和感はある。
「あ、バスきた」
蓮が顔を上げる。
バスが停車し、乗降口が開く。
休憩場所に選んだ所が悪かったと後悔しても遅い。
「れんのおうちのほうにいきますか？」
「っ、すいません、乗りません！」
「っや！こーじ！」
「すいません！」
蓮を慌てて止めて頭を下げる。
バスが走り出した後、蓮の目にみるみる涙が溜まる。
「れん、じゃましちゃだめって、いった…、」
「蓮、戻ろ？な？」
「やだ、おうちがいいッ、」
ヒクッ、ヒクッ、と背中がしなる。
「なんでぇ、れんも、」
「蓮だって先週お家お泊まりしたやん」
「きょう、たつやくんだけ、…ずるい…れんも、きょうおうちかえりたい、」
「ふっかさん、夕方には帰ってくるよ」
「れんも、かえるのぉ…」
シクシク涙を流す蓮の背中をポンポンしてやって宥めていると、頭の中がぐちゃぐちゃになった。
俺だって帰りたい、
でもふっかさんのことは笑顔で送り出したいし、
ちゃんとおかえりって言いたい、
蓮のこと泣かせたくなんかないのに目の前の蓮は泣いてて、
全部全部上手く出来ひんのが情けなくて、
ふっかさんならもっと上手く出来たのに、
蓮のことだって泣かせなくて済んだかもしれへんのに、
…それに時々ぎょっとしたように顔を見られた時みんなと違うことが苦しくて、
恥ずかしくて、
でも蓮を1人で放り出すなんて出来なくて…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うの(プロフ) - ぽんさん» コメントありがとうございます。細々と更新していきますので暇な時はまた読みに来て下さいね!(^^)! (2022年8月9日 16時) (
レス) id: 312a545c23 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん - 突然コメント失礼します。密かに読ませてもらっています。紫さんの出てくる作品が好きです。こぎつね、もしや紫さんもレギュラー参加の予定ですか？可愛いですね。これからも色んな短編集を楽しみにしています。 (2022年7月30日 15時) (レス) id: 06d404138f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うの
| 作成日時：2021年11月1日 11時
