あまくて、ずるい、きみのせい (ページ31)

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怠惰ページ31

「…黄昏てんの？」

半透明のカーテンが人影を写す

猫背に輪をかけた猫背

出会った頃からだいぶ肉の削られた身体

その瞳にはもう光は宿っていない

「ふっか…」

器用で、世渡り上手で、達者で

なんてそんなの虚言で

本当のこいつは

不器用で、小心者な、未練がましいヤツ

あのさ、ふっか

俺とか翔太ならそれ、分かってあげるよ

乃愛ちゃんのことが好きで好きでたまらないの、痛いほど伝わってるよ

でもさ、

あの子には分かんないよ

あの子自身鈍感だからって言うのもあるけど

ふっかが動かなきゃ、ダメだと思うよ

眠れないぐらい好きなんでしょ？

大学、来たかったのは会いたいからでしょ？

好きな子に意地悪するのは小学生まででやめなよ

あべちゃんに取られちゃうよ？

蓮の思いだって、知ってるんでしょ？

恋愛赤ちゃんでもなんでもいいよ

「なぁふっか」

「ちゃんと好きって言わなきゃ、どこか行っちゃうよ？」

それでお前、またひとりぼっちだってボヤくんでしょ？

そうなったら、そりゃあ助けてあげるけど、あげたいけど

何にもしないって言うのはナシなんじゃないの

やるのはふっかの自由だけどさ

お前に幸せになって欲しいって思ってる

俺らの思いは踏み躙らないでよ

『さくまぁ』

『俺、あいつにべろちゅーしちゃったぁ』

「…はっ？おまえ、」

『…もうさ、止まんなくってさぁ』

「………好きが？」

『…………いんや。下の方。溜まってたから』

「…ふっか」

『ガード固かったわぁ。真後ろにベットもあるってのにさぁ』

「なぁふっか！」

『嫌だよ』

『俺はお前に指図される筋合いは無い』

『誰の駒でもない』

お前、いつから…

なんて、聞かなくても分かる

こいつがこうなったのは、こいつのせいじゃない

それも、よく分かってる

「…んじゃ、さくまさんも寝かせて〜」

『はぁ？お前さっきも家で寝たじゃん』

「さすがにアニメ見すぎちゃってさぁ〜。3日連続オールしたからガタきちった」

『…あほ』

「にゃは！だから入れて〜。詰めて〜」

『マジで嫌なんだけど』

だから、甘やかしちゃうんだよな

俺も翔太も

「…おやすみ、ふっか」

痩けた震える頬を風が撫ぜた