あまくて、ずるい、きみのせい (ページ17)

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「くっしゅん！」

『あ…ごめん、寒かったよね』

「ううん、花粉症なだけだから」

『えぇ…そしたらここ、結構苦しくない？』

「うん…でも、見たかったからいいの」

『…そっか』

見上げると一面に広がる桜と、空

ピンクと青のコントラストが絶妙で、絵画みたい

「友達、よろしくね。あべくん」

『ふふ、よろしく。乃愛ちゃん』

「なんかあべくん真面目だから。こういう風に言わないとまた勘違いしちゃうかなぁって…」

『ちょっと弄ってる？』

「ぜーんぜん！」

『うそだぁ』

ちらっと横を見ると、あべくんも同じように見上げていて

この世界にふたり、閉じ込められているみたい…なんて

『でもね、ダメって言われると思った。友達』

「え…なんで？」

『だってほら、昨日キスしてたから』

「み、見てたの！？」

『昨日たまたまあの店にいてさ…。一応だけど、あの人は…』

「あー、もうぜんっぜんない！そういうんじゃなくて…あの人は、久しぶりに会った幼馴染で…あれは事故っていうか、」

『ふふ、うん…分かった。よかった』

「うん…そういうこと、です」

『これで、安心して乃愛ちゃんのこと狙える』

「ね、狙う！？」

『うん、本気だよ。友達からって言ったけど、ずっとこのままとは言ってないでしょ？』

あ、あべくんいじわるモードだ

でも、なんか嫌じゃないんだよなぁ

めぐがいたら危機感持てって怒られそう

『その幼馴染は？どういう人なの？』

＿＿どんな人？

昔、めぐにも聞かれたな…

あの時、私なんて答えたんだっけ

「よく…分かんない人」

『…分かんない？』

「ブランクがありすぎたっていうのもそうなんだけど、…それでも昔はもっと分かりやすかった。元気で、明るくて、人気者で。だけど、ちょうど昨日、会った時は…たっちゃんからそういうの感じなくて…」

『たっちゃん…って言うんだ』

「あ…うん。でも呼び変えるつもり」

『変えちゃうの？』

「うん。もうあの頃とは違うし、みんなふっかって呼んでるから。きっとあっちもその方が呼ばれ慣れてるかなぁって」

『…そうなんだ』

「あーもうごめん！とにかくなんだろう…すっごく変な人、ぐらいの認識でもう全然大丈夫だし…なんならあべくんは知らない方がマシかも…うん、絶対その方がいい……」

『だーれが、知らない方がマシだって？』