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分駐所に戻ると私はすぐに、夕飯を食べる場所を確保しようとキッチンの前にあるカウンターを片し始めた。

最近第4機捜の分駐所がやっと仮から昇格し、芝浦署裏にあるカフェだった場所に移動したのだが…
移動して1、2週間は経つのにダンボールが減らず、ゴミ屋敷とまではいかないがそこそこ汚い。




「要するに相手に走り負けたという事ですか?」


伊吹さんの説明をすっごく簡単に要約した九重さんは冷たく言い放った。
でも、その通りで、異論はありません。


「セイセイセイ九重くん!
 俺ちゃんと話したよね、話聞いてた?相手は1人じゃなかったの!
 暗かったし俺も走ってた時は夢中だったから分かんなかったけど、角を曲がる度に別の奴にチェンジしてた!」
「証拠は?」
「ない。ふいんきが違った」
「ふんいき」
「最初の奴と公園を最後に出た奴は絶対違った。ふいんきだけど」
「ふんいき。」
「分かってるよ。証拠もないのにふいんきで決めつけるなって志摩みたいな事言いてぇんだろ?」
「私はふんいきだと」
「何お前、どうしたの急に。ふいんき魔人かよ怖いわ」


伊吹さんの言い訳・臆測はその通りだけど、必死に説明する姿が面白くて本当のことを話すのはやめた。


「あいつら一体何揉めてんだ?」
「404の車内はいっつもこんな感じです」
「九ちゃんより志摩とAちゃんの方が優しい」
「優しくしてるつもりはない。俺は諦めてるだけ」
「志摩さんに激しく同意です」
「ほーら見ろ」
「褒めてないですよ」
「は?」
「全く褒めてない」
「うっそ…」
「おっし飯だ飯だ!っしゃ食らえ〜!」

陣馬さん特製の焼うどんが出され、私はすぐさま席に着いた。

「いただきます!」
「いただきまーす、美味そー!!」
「読み方はふいんきではなくふんいきです」
「はぁ?何が?」
「見てください、どちらが正しいか。」

九重さんはスマホで“雰囲気”を調べると伊吹さんに見せた。細かすぎる。

「やかましい!どっちでもいいよ!逃げられたんだろ?」
「え?」
「伊吹の言い分も確かめようがないんだから、ほら食え」

陣馬さんに反論できず、口を尖らせながらも「いただきます」と箸に手を付けた。

「犯人役の逃げていた男は全部で4人。全員同じ服装で同じキャップでリレーして走った」
「流石志摩信じてくれたー!」
「ううん、信じてない。
 この目で見た、Aも証人」
「あい、証人です」

食べる手を止めて志摩さんの横から顔を出す。


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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時

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