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「いったずら通報こないかなー。はい!
いったずら通報こないかな〜!」
作詞作曲・伊吹藍さんで「いたずら通報来ないかな」の歌がメロンパン号内に流れる。
それだけがエンドレスで耳に残ってしまい私の脳内でも再生された。嫌だな…
「うるさい。嬉々としてとして虚偽通報を待つな」
「だって今日は3機捜のヘルプで西武蔵野署管内の当番なんだぞ!!俺だったら必ず捕まえる。そこいらのチンピラに足で負ける気がしない!」
「はいはい速い速い」
「志摩ちゃん、心がこもってない」
「すぅっごく、速い、ですよねー?」
ゆっくり言っても心が籠ってないのがわかる。そして歌が止まった車内には変な空気が流れた。
『警視庁から各局、西武蔵野署管内中堤町つつみ市民公園前の公衆電話より緊急通報。現状周辺のPMは急行されたい。通報者は若い女性、黒い帽子の男に追われているとのこと。通報中に中断』
無線の連絡が入り頭の中で整理する。名前は名乗られていないから虚偽通報の可能性が高いな。
公園前にメロンパン号を降りて通報のあった公衆電話に近づく。
「いたずらか本物か、まぁこの辺りを捜すか。」
「いや、手っ取り早くいかない?」
すると、伊吹さんは息を思いっきり吸って大声で叫び始めた。
「警察だー!!
悪い人ー!!出てきて下さあ〜〜い!!!」
"バカ"なりの考えなのか何なのか、確かに手っ取り早い。
「あー、なるほど。
本物の犯罪者であれば出てこいって言われたら出てこない。」
「だけどー、いたずらであれば」
閑散とした空間に空き缶がカランコロンと転がる音が響いた。音の下法を振り向くと階段の上に1人、ジャージ姿に黒い帽子の男性が。
「勝てるんだろうな?」
「任せとけ、余裕!」
自信満々の伊吹さんは太ももを上げてストレッチをする。走る準備は万端なのだろう。
それでも帽子の男は走り出す気配がない。
「逃げなねぇな」
「合図がいるんじゃない?」
「よーいどん?」
「いや、こういう時に掛ける言葉」
「あー、わかったかも」
「「「待て!警察だ!」」」
それと同時に男が走り出し、隣にいた伊吹さんも追うように駆け出した。その様子を眺めていると、志摩さんから呼ばれる。
「Aはこっち。」
「??
伊吹さん信じてるんですか?」
「お前ひとり残すとどこ行くかわからねえから」
心外だ!と思いながらも志摩さんに腕を引かれて車に乗り込む。
そして伊吹さんの後を追った。
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時