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『1機捜本部から機捜404』
「こちら機捜404、どうぞ」
『フラワーショップの防犯カメラの映像に拉致監 禁の一部始終が映ってた。
マル秘が凶器を用いてマルタイの車両に無理矢理押し入るのが確認できた。
山梨県警に応援を要請、機捜132も向かってる。
マルタイの現在地は?どうぞ。』
「富士山名の道の駅に入ります。マルヒが凶器を手に人質を車から下ろしました。危害を加える可能性があります。」
「それと確保の許可お願いします。」
連絡を終えて2人が降りる準備をする。私も後ろに行ってリヤドアを開けようとしたのだが、車番と言われた。
…まあ2人いれば平気だな、と私も納得して車に残る。
後ろにあった道具箱から双眼鏡を手に取って容疑者の様子を見張る。
やっぱり田辺さん夫婦は人質には見えないな。
公衆トイレに入って行ったのは捉えられたがさすがに中の様子はわからない。出てくる瞬間でも待ってようと見ていると、黄緑のジャンパーを着た人が慌てて飛び出してきた。
わーー、嘘でしょ…
「加々見逃げてんじゃん」
あんな息巻いて行ったのに、2人とも夫婦に抑えられて身動きが取れていない。
体が自由なのは私だけ。とにかく追わないと、と、スマホだけ手に取って車から飛び出した。
容疑者の後を追って道ではない道に入る。
いくらストレッチ素材のスーツだからといって走りづらいったらありゃしない。ランニングシューズにしたのがせめてもの救いだが。
やっとアスファルトに出てキョロキョロしていると、いかにも焦ったような人間が遠目に見えた。絶対アレだ。と思ったが曲がり角で見失う。
私のテリトリーである東京ならまだしも、知らない土地は苦手だ。近道なんてわかんない。
とりあえず息を整えてから、スマホを取り出す。
2コールもしない内に志摩さんが出てくれた。
「すみません志摩さん、加々見を追ってたんですけど見失っちゃって…」
『A、今どこにいる?』
「今…えっと」
見渡していると電信柱が目に入る。
「下富士1の4です」
『ラウンドホームっていう店は近くにあるか?』
「はい、」
『中に加々見がいるはずだ。Aは見つけ次第確保に向かえ!!』
「承知しました…あー、見つけたので追います」
店から出てきた加々見は黄緑の上着を抱えて走っていた。
「待て!!」と声をかけることもできるがそんなんで止まるはずない。とりあえず差が広がらないように後を追った。
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時