朝涼み(kn) ページ15
『…シッマ、もう起きてたんや』
コ「おーA、おはようさん」
皆がまだ眠っているような明け方、
目が冴えてしまいバルコニーに向かえば水色の瞳がこちらを向いた
吐き出された煙がまだ淡く、彼の瞳とよく似た色の空に登っていく
まだ暑さの無いうちに涼んでおこうと
私が彼の隣に立てば、彼はまだ長いその火を消した
『…別にいいのに』
コ「喫煙者ちゃうんやから気にするわ」
ふとした時に感じられる優しさはなんだかくすぐったい
「暑いねん」と言われることを覚悟で傍によれば、存外何も言わず彼は受け入れてくれた
朝だからか吹く風も涼し気で心地よい。
『夏だねえ」と呟けば「せやなあ」と間延びした返事が返ってきた
コ「…そろそろ始まるらしいで」
『うん』
コ「…死ぬなよ」
『…シッマもね』
バルコニーの手すりに背を預け、彼の顔を盗み見れば
彼の表情が少し暗いことに気付く。
もうすぐすればこの平和は壊れる
当分彼とここで談笑することさえできない
なんなら、また会う事さえできないかもしれない
それが、恐ろしくて堪らない。
日は昇ってきたが、まだ涼しいと感じる今しかきっと彼にふれることは叶わないだろう
『シッマは死なんといてな…』
彼の背から腕を回してぎゅうとしがみつく。
きちんと帰ってきてと願いを込めれば、自然と力もこもってしまう。
コ「わかってる、安心せえ」
するりと私の右の手を絡み取り、安心させるようにそのまま握った
大きなその手は私の不安をいつも拭ってくれる
頬を撫でた風が少し熱気を帯びてきた
ああまた暑い時間が始まる。
一日が始まる。
これを繰り返せば今のような平和など見る影もなくなってしまう
皆が起きてくるまでもう少しだけと
私は彼に染み付いたヤニの匂いを忘れぬよう
肺いっぱいに吸い込んだ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
戦争前は不安になる夢主とそれを悟られぬよう取り繕うシッマの話
夏ですねえ。まだ夜とか涼しい時間が六月らしくあるのでそれをイメージしてみました
因みに余談ですが、
結構前に乗せてたTwitter垢が変わってるのでご報告をば…
＠otonoha26
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琴葉(プロフ) - 逆音つらら@ちゃげっ娘。さん» こちらこそ、ずっと読んでくれててありがとう！！コメントくるたび私もニコニコしてたよ…！本当に、長く書き続けてしまったけど、見守ってくれてて本当にありがとう！これからもよろしくね！ (2022年4月25日 21時) (
レス) @page50 id: bc3093acc5 (このIDを非表示/違反報告)
逆音つらら@ちゃげっ娘。(プロフ) - 長い間お疲れ様！！琴葉ちゃんの書くみんなが大好きで堪らんかった！毎回更新される度にニコニコしながら読んでた。最後の話めっちゃ好きありがとう...; ;改めてお疲れ様。長文失礼！ (2022年4月25日 20時) (レス) @page50 id: 7d70168393 (このIDを非表示/違反報告)
夜雫(プロフ) - 琴葉さん» 全然！むしろお願いしますm(_ _)m わたしほんとに主様の文が好きなんですよ！どうかよろしくお願いします！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 1708361fbd (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 夜雫さん» ｳｯｯｯやっぱり見たいですよね…私も書きたいです…嬉しいお言葉ありがとうございます…！余白的にしてみたでしたら書けるのですが、それでもよろしいでしょうか… (2022年4月21日 17時) (レス) id: bc3093acc5 (このIDを非表示/違反報告)
夜雫(プロフ) - 胸:糞のやつ最後まで見たいです。文が毎回毎回知性を滅茶苦茶に感じる綺麗な文でほんとに好きです (2022年4月20日 22時) (レス) @page46 id: 1708361fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴葉
| 作成日時：2019年9月12日 0時
