dryflower 〜 sho.hirano 〜

33 ページ33

.









優しく笑ってくれたあと
“ でも…… ” って篭った声が響く






平『煙草は教えられんな』






揺らぐ視線が絡み合った






｢……なんで？｣






平『なぁA？』






近くで紫耀の顔を見るのは
やっぱり何だか恥ずかしくて。





でも熱い視線が私を捉えて離さないから
私も逸らすことを忘れてしまう






平『俺はな、』






吸い込まれそうなほど綺麗な瞳の先を
私も必死に追う






不自然な表情に動揺しながらも
紫耀の手のひらが私の頬を包んだ






平『Aに無理して欲しくない』






あぁ、紫耀にはやっぱりぜんぶお見通しか






｢別に無理なんて……｣






平『年齢とか、立場とかってさ、お互いがどう頑張ってもその壁は壊せんし埋められへんやんか』






口元を緩ませ心地良いテンポで紫耀の声が聞こえてくるから難なくそのペースに飲み込まれる






平『せやから、なんていうか、、
無理して背伸びする必要なんてないから』






ぎゅって勢いよく抱きつくと
よしよしって声に出しながら頭を撫でられる






紫耀の匂いをいっぱいいっぱいに吸い込むと
胸がこれでもかってぐらいに満たされるんだ






平『Aはずっとそのままでおって』






.

34→←32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す