dryflower 〜 sho.hirano 〜

18 ページ18

.









「んー……」







何となく目が覚めると
リビングから光が漏れていることに気付いて
まだままならない足取りで廊下を歩く







「しょう？」







平『あ、A、ごめん起こしてもうた？』







「ううん、大丈夫」







ソファに座って隣の紫耀に頭を預ける







平『ごめん、俺昨日のこと全然覚えてへんくて』







そんなことを言いながら困った顔をして笑うから
私が見た光景を紫耀は覚えてるはずなんてなくて。







「あの、さ……昨日、誰と飲んでたの？」







平『誰とって神宮寺とだけど』







まるでふたりで飲みに行っていたような顔をする







「でも、ふたりじゃなかったでしょ？」







平『A？』







あぁ、私きっと今すごく面倒臭い女だ。


聞いたらいけないような気がして、
でも1度開いた口は閉じることを知らないようで
頭の中で整理をする前にどんどんと溢れていく







平『誰に聞いたん？』








「ねぇしょう、私の質問に答えて」







昨日の夜のことを1から話すと
分かりやすく紫耀の笑顔が消えていく







寂しそうで、何処か切なそうな顔が
私の胸をぎゅっと締め付ける







「葵さんって誰なの……」







そっと開いた紫耀の目は焦点が合うことはなく
地面に落ちていく

見たことのない弱った姿に動揺しつつ
それと同時に彼女の大きさを痛い程に感じた。







平『元カノやねん』







.

19→←17

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す