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『遅刻、する。』
今日も一限からあべと顔を合わせる。だらしない顔のまま、大学になんて行けやしない。もう今更か、と思い直してみても、あべに " なにかあったこと " を悟られてはいけないのだ。
『あ、』
《ん？》
『香水、忘れた…』
以前からあべがいい香りだね、この匂い好きだな、と言っているお気に入りの香水。もうリピートし始めて三回目のそれを、今日は持ってくるのを忘れてしまったようだ。
《俺の使う？》
『いい、大丈夫。』
すると後ろから抱きついてきた佐久間くんが私の髪に鼻を擦り寄せた。そのまま耳元まで降りてきて。
《…俺と同じシャンプーの香りしたら、バレるんじゃないの？》
擽ったくて、身を捩る。外で話している時とは違う、低く脳に響く声。私を引きずり込む、甘やかな囁き。
『…別に、いいもん。』
《素直じゃないねえ。》
結局何もつけずに家を出て、外の風に靡いた自分の髪から香る、いつもとは違うシャンプーの香りは甘さの中に後を引くような何か。
後を引いているのは、香りなのか、私の気持ちなのか。
戻れないところへと踏み入れた足は、どこへ向かっているのか。
隣の彼が導く先はどこかなんて、教えてくれるはずもない。
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まのか(プロフ) - もぉぉぉぉぉぉぉ！！最高ですっ！一気に読ませてもらって 仕事の疲れが吹っ飛びました！ｗ更新楽しみにしてますね＾＾ (2020年8月11日 20時) (
レス) id: 496b8676bf (このIDを非表示/違反報告)
セン(プロフ) - すごい面白くてあっという間に読んでしまいました。続きを楽しみに待ってます。 (2020年8月11日 19時) (レス) id: 0585149188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月叶
| 作成日時：2020年8月5日 0時
