復讐。 (ページ4)

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プロローグ4-帆を上げよページ4

「にいに、またお魚さん捕ってくるさー!いってきまーす!!」

早朝、まだ薄暗い外で仏壇に向かって兄に挨拶する。
骨の代わりに、今はもう腐っているであろう兄の破片が壺に入っていることは、今となってはまるでそれが『当たり前』と思ってしまっているぐらいに驚くこともなくなった。

玄関に用意していた道具をガチャガチャと揺らし、
つぎはぎだらけになった麦わら帽子を被って外へ出掛けていった。

近所の海辺に着いたけれども仲間は全員休み。
今日は一人で漁をするらしいが、今日は休日。学校も無いし、思う存分に漁ができる。

早速船に乗り込むと、慣れた手付きで船を進めていく。
穏やかな風が気持ちいい。

____向こうで、まだ兄が手を振っている光景が浮かんでいた。

そして、そこから暫くする。短時間だが、早めに戻らなければ…

だって、今日は風向きが急変する日のようだから。
いつ転覆してしまってもおかしくないぐらいの強風に耐えつつ、速めに船を進めようかと道具を片付け始めた瞬間。
大波が此方に押し寄せてくるのが見えた。

早く逃げようとしても遅く、
背を向けた瞬間に船ごと波に飲まれた。

強い波の勢いに耐えきれず、体が激しく揺さぶられる感覚。
他の大型な船も呑まれたのか、遠目にだがそれが見えてきた。
グイグイとその船に吸い寄せられる感覚がして、不意に目を開く。

あれは、プロペラ?
そう、あれが自分を引っ張っていた。
泳ごうにも体が怖じ気づいて動けず、気がついた頃には爪先から強い痛みが。
まるで、骨ごと体をバラバラにされたような感覚。

やがて、痛みに浸食されるかのように意識が途絶えた。