プロローグ2-死を見届ける ページ2
「…ふぅ、終わった……」
本当はもう少し仕事をしていたかったけれど、他の先生方から全力で止められてしまった。
でも、こうして帰るのも悪くはなかった。
夜は歩いて帰るには少し寒いし、かといってわざわざ車を使いたくはなかった。
久しぶりに、月光ではなく夕焼けが帰宅道を照らしている。
今頃、生徒達は何をしているだろうか?
特に、数日間行方不明になっていたアカネが気になっていた。
成績は常にトップクラス。そして…
大切な家族を、亡くしてしまっている。
通夜の時に彼女と会ったとき、いつもは凛とした彼女の顔は悲しそうだった。
…それもそうだ、大切な人がいなくなったのだから。
ふと彼女のことを気にしていると、近くの路地から甲高い悲鳴が聞こえた。
「っ.....!!?」
体をビクッと震わせ、近くの鉄パイプを片手に恐る恐る近づいていくと____
そこに、横たわった少女と、男がそこにいた。
少女は見事なまでに無惨だ。
男は返り血を浴びている。
……なのに。
不思議と、恐怖よりも怒りが湧いてきた。
そうだ。
あの少女は、僕の生徒だ。
アカネではないけれど、大切な僕の生徒。
許せない。
「ああ、そうだ………………
あの男は、あの子がどれだけ痛い思いをしているのかわからない。
だから、教えてやらないと…………」
***
虚ろな目でいきなり目の前に現れた男がぶつぶつとそう言うと、俺の右手に強く叩かれるような衝撃が走る。
痛みで顔を歪めると、カランと手からナイフが滑り落ちた。
『拾われてはいけない』。
そうわかっていたのに、痛みで反応が遅れた。
すると、スッと目の前の男がナイフを拾い上げてしまっていた。
背中に氷を当てられるように、寒気がしてきた。
これは通報されることへの怖さではない。
死への恐怖。
それだけだった。
俺があのガキを殺したことを後悔する前に、
今まで見てきた何よりも俺に恐怖を植え付けた人間が何度も俺に鈍色の刃を突き刺していた_____
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神桜 - 久しぶりの更新 (2019年7月21日 3時) (レス) id: d3db07a9e6 (このIDを非表示/違反報告)
神桜 - 体調崩して、暫く更新できないです.... (2019年5月24日 14時) (レス) id: d3db07a9e6 (このIDを非表示/違反報告)
神桜 - かほりさん» おぉ...!!ありがとうございました!! (2019年5月23日 13時) (レス) id: d3db07a9e6 (このIDを非表示/違反報告)
かほり(プロフ) - なってますのでではなく載ってますのでです (2019年5月19日 16時) (レス) id: 5d3fef41b7 (このIDを非表示/違反報告)
かほり(プロフ) - 非公開になってました… すいません 今度の今度はなってますので、、、 (2019年5月19日 16時) (レス) id: 5d3fef41b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神桜 | 作成日時:2019年5月11日 21時