二十四仕事 ページ26
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猫は後日再び見ることになった。
双葉は箒を小脇に抱えながら、携帯電話のカメラ機能を起動させた。
『猫?』
『はい。野良猫っぽくて。捕まえて去勢手術とかしないとなんですかね?』
『写真はないのか?』
『え、写真ですか? ……ないですけど』
『撮ってこい』
妙に食い気味だった久世の命を仰せつかって、双葉は猫の写真を撮るため、今日も玄関周りの掃除をしていた。
そこに現れた先日と同じ灰色のトラ柄猫。
しめしめ、とニヤニヤ笑いながらしっかりと猫にピントを合わせる。
「…」
「なぁぁ〜〜」
真剣な双葉に猫は鳴いた。
そして、走り去った。
上手くピントを合わせられないカメラ初心者の双葉は、猫に逃げられた。
「あぁ!」
がっくりと項垂れながら、掃除を切り上げた。
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今日も双葉は猫の写真を撮るため、玄関周りの掃除をしていた。
ちなみに、猫の写真を撮ることを失敗した経緯を久世に話すと、
『下手くそ』
ただ一言返された。
結構心に刺さった。
双葉はちらちらと庭を気にしながら、そんなに汚れていない玄関を掃く。
きた。
あの猫はやって来た。
二匹の子猫を引き連れて。
「!?」
なんで子猫と驚いて固まった双葉だが、目的を思い出し、あらかじめ起動してあったカメラ機能とともに携帯電話を取り出す。
今回はピントを合わせようと丁寧にせず、一思いに素早くカメラ撮影ボタンを押した。
カシャ
音に振り向いた猫が目を細める。
子猫達は猫の行動を真似るように双葉の方を見た。
クリーム色と黒色の、トラ柄子猫。
猫も好みどストライクだが、この子猫達も物凄く可愛い。
大きな目を輝かせながらこちらを見てくるものだから、可愛さで双葉は悶えた。
可愛い可愛いすぎる。
双葉は、携帯で撮った写真を確認して、ポケットにしまった。
ちゃんと写真は撮れていた。
少しピントはブレていたが。
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壱(プロフ) - 白銀の狼さん» 猫たちの名前は白銀の狼様の案を採用させて頂きました!ありがとうございました! (2019年12月15日 23時) (レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - アリアさん» 名前ありがとうございます!わざわざ作者の戯言にも気遣いいただいて…続編は作ります (2019年12月8日 13時) (レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - 白銀の狼さん» センスある名前ありがとうございます! (2019年12月8日 13時) (レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 猫の名前ですが、きゃらめる、とかちょこ、とかばにら、とかひらがなでスイーツ系でつけてそうです...!私は続編に行こうが見ますし、作者様が作りたくないと言うなら素直に受け止めますのでじっくり考えて続編出すか出さないか決めてください♪ (2019年11月11日 18時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
白銀の狼(プロフ) - 猫さんの名前お母さんはリズ、お兄さんはリオ、弟さんはリトなんてどうでしょう? (2019年11月11日 0時) (レス) id: d028fadf80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひぃ | 作成日時:2019年5月6日 21時