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『……きっと、先輩方は自分達のことが許せなくて、その上で、不安なんだと思う。左門くん達がどんな気持ちでいるのか』

「僕らの、気持ち」


左門くんは、言葉を咀嚼するように繰り返す。

私は、言葉を続けた。


『だから、左門くんが話してその気持ちをぶつけてみて。そしたら先輩方も自分を責めるだけじゃ何も始まらないって、気づくと思う』


そう。

自分を責めてその場で立ち止まってても、何かが起きる訳じゃない。

左門くんの先輩達には、行動するきっかけ、つまり、左門くん達下級生の気持ちを伝えることが必要なのだ。


左門くんは少しの間黙り込んだ後、あっと声を上げた。


「……そうか!司馬法曰く、知ることの難きに非ず。行うことこれ難し!少し不安ですが、伝えようと思います」


『う、うん!そうだよ!』


……なんだか凄く難しい事を言っていて私には分からないけど、とりあえず力になれたらしい。


ほっと安堵したその時、私は何かの気配を感じて、思わず言葉を止めた。

ゆっくりと振り向いたその瞬間、乱暴に髪を掴まれる。


『……!?』

「Aさん!!」


反響する、左門くんの叫び声。


私は鈍い痛みに耐えながら、横目で姿を確認する。

耳元で、しゃがれた声が囁いた。


「動くなよ女。俺たちは山賊だ。」


……山賊!?


一瞬、頭が真っ白になる。

けれど、なんとか冷静にと自分に言い聞かせて、私は慎重に言葉を紡いだ。


『何の用ですか?』


「用だと?そんなの決まってるだろ。命が惜しけりゃ金目のものを出せ、そこの小僧もな」


(そんなこと言われても、そもそも金目のものなんて何も持ってないんですよこっちはねえ!!)


心の中でそう叫ぶけれど、どうにもならない。


あの時は必死で、忍術学園からほとんど手ぶらで出てきてしまった。

まあ、もし持っていたとしても易々と渡して命乞いなんて絶対にしないけれど。


「どうした、早くしろや!」

「Aさん、今……、っ!」


懐に手を入れた左門くんを、私は視線で制止する。

とりあえず隙をつく為、私は一芝居打つ事にした。


『では出しますので、少し力を弱めてもらえます?』

「……チッ、さっさとしろよ」


一気に拘束が弱まる。


……今だ!

私は、大きく身を捩って竹刀を持ち、思いっきり山賊を叩いた。


「……ぐっ!!クソッ、この女!」

『っ、!』

四方から山賊が現れ、取り囲まれる。

リーダーと思われる山賊の合図で、一斉に飛びかかってきた。

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(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (4月16日 22時) (レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね! (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…!!これからも、陰ながら応援させていただきたいです! (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます!そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね! (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます!海外留学中だったのですね……。すごいです!これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください! (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年8月13日 22時

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