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_翌日、早朝。


まだ朝陽も上らない学園、辺りは静寂に包まれている。

しかし、六年い組の長屋……潮江文次郎と立花仙蔵の部屋では、他よりも一足早く灯りが灯されていた。


「……今日は早いな、仙蔵」


口に紙紐を咥え髪を結い上げる仙蔵に、文次郎は声を掛ける。

仙蔵は目線を鏡に向けたまま、頷いた。


「ああ……今日は、というか、今日からというのが正しいか。暫く授業以外の時間で忍務につくことになってな」

「へえ、それは大したもんだな。ちなみに何
を?」


文次郎の問いに、仙蔵は小さく笑う。

その意味深な笑いに文次郎は眉を顰め、首を傾げた。


「なんだよ」


「別に……まあ、お前になら話してもいいだろう。喜八郎に代わって、今日から私が天女の監視をすることになった。」



_暫しの沈黙。


……一体、この同室は何が言いたいのか。

少しだけ思案して、文次郎は小さく息をついた。


「そうか。頑張れよ」

「なんだ、何も言わないのか」


一方仙蔵はといえば、あまり変わり映えのしない文次郎の言葉に、おどけるように肩を竦める。

何しろ、彼はすでに文次郎が天女を信じている事を知っていた。


文次郎はお前な、と苦笑しながら仙蔵を軽く小突く。

そして、まっすぐに仙蔵を見つめた。


「人の忍務に口はださん。お前が言いたいことも、まあ、なんとなくは分かるが……あれはあくまで俺の意思だ。仙蔵には仙蔵の目があるだろ」

「文次郎……お前」


仙蔵は目を見開き、驚いたような表情を浮かべる。

そしてすぐ、堪えきれなくなったようにぷっと吹き出した。


「ははっ……これは面白い。喜八郎と同じようなことを言うのだな」


……信じるかどうかは自分次第。


仙蔵の脳内には、昨日の喜八郎の言葉が反響する。

_作戦中、指示を無視して独断専行を取ったことを、喜八郎本人に問い詰めた時だった。


"……僕はあの人が信頼にあたる人物だと判断したので、助けていたまでです"

"ほぉ、つまりあれは作戦などではなかったのだな。それで、私にも疑うなと?"

"そんなことは言っていませんよ。監視したければ監視をするべきです。信じるかは先輩次第なんですから"


……あの無関心な喜八郎に、ここまで言わせるとは。

そして今、同室も彼女の事を信頼しているらしい。


月原A……一体、どんな天女なのだろうか。


「……まあ、見せてもらおう」


朝陽が昇り、部屋には陽光が差す。

仙蔵はもう一度、妖美な笑みを浮かべた。

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(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (4月16日 22時) (レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね! (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…!!これからも、陰ながら応援させていただきたいです! (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます!そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね! (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます!海外留学中だったのですね……。すごいです!これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください! (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年8月13日 22時

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