40 ページ42
「でも誰かしら……心当たりはある？」
『……えっと、無い、です』
「そう……まあでも、貰っていて損はないけどね」
山本さんが不思議そうに首を傾げる。
本当は心当たりしかないけれど、名前が分からないので下手な事は言えない。
けれど、きっと……
うんん、絶対にあの人だ。
次会ったときは、お礼を言えたらいいけど……
「そういえば、今日は何するの？しばらくお仕事は禁止なんでしょ？」
『ああ、今日は図書室に行こうと思ってて』
山本さんの言葉で、はっと我にかえる。
さて、今日から何をするのか。
昨日考えて考えて、たどり着いた結論が『勉強』だった。
元々そんなに熱心な方じゃないし、むしろ再テスト常習犯だったくらいだけれど……せめて文字くらい読めなければ。
＿これは、ここ数日で強く感じたことだ。
だから文字の本はもちろん……もしあれば、天女に関する本も読んでおきたい。
「へえ、熱心ね。まあ、図書室には図書委員会がいるけど……そんな感情的な子達じゃないから大丈夫だと思うわ」
『そうですか』
それが聞けてちょっと安心しました、という言葉は心にしまっておく。
そろそろ行きましょうか、そう言って立ち上がった山本さんに続いて、私も部屋を出た。
「じゃあ、お互い頑張りましょ」
『はい！』
去っていく後ろ姿を見送ろうと手を振ったその時。
少し遠くまで行っていた山本さんがこちらに引き返してきて、私は首を傾げる。
山本さんはちらちらと周りを見ながら、小さな声で問いかけた。
「昨日、善法寺伊作くんに看病してもらったのよね？彼、どんな感じだった？」
……伊作さん？
『え……？えっと、普通に優しかった、です』
「そう……なら、いいのよ」
＿私はこの時、この質問の意味がよく分からなかった。
そして、私がこの質問の意味を理解するのはもう少し＿
いや、かなり先のことである。
.
.
.
山本さんと別れ、地図を片手に右往左往。
迷子になることもなく、なんとか図書室にたどり着いたものの……
『これ、閉まってる感じか』
ちょっと扉を開けて覗いてみるけど、暗くて人の気配はない。
私としたことが……！
完全に、誤算だった。
でもよく考えれば図書委員会がいなければ図書室も回せないし、今はまだ朝だからいないのにも納得する。
『仕方ない、また出直そ……』
そう言って閉めかけた扉。
しかし、向こう側から誰かによって止められる。
「……もそ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» わぁあありがとうございます！性格についてはかなり考えたので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります！ (2022年1月28日 18時) (
レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - コメント失礼します！すごく面白いです！夢主ちゃんが剣道が得意で明るい性格っていうのがすごく好きです！更新楽しみにしています！ (2022年1月27日 22時) (レス) @page2 id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - みこちさん» ありがとうございます！ (2022年1月14日 22時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» もしも、この作品にゲストが出るとしたら、雑渡さんか兵庫水軍の皆さんが現れてくださったら…なんて考えてしまいます。応援します！ (2022年1月13日 12時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» 後も一つ、犬夜叉と鬼狩りという奴も在りますよ。出来ますれば、コメントを頂けたら嬉しいです。どんなコメントでも大歓迎です。 (2022年1月11日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海鈴 | 作成日時：2022年1月9日 22時
