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『あの三人、いい子達だったな……』


夜。

ようやく自分の部屋に戻ってきた私は、今日のことと、明日から何をするか一緒懸命に考えていた。

本当なら今まで通り仕事をしたかったのだけど、伊作さんにはしばらく安静にと念を押されてしまい、あまりの圧に頷きざるを得なかった。


『でも、嬉しかった』


伊作さんはもちろん、乱太郎くん達もとても私を心配してくれていた。
どうやら、手伝おうと思っていてくれたらしい。


そして、助けてくれた。

「天女」じゃなくて、「私」を見てくれた。


『帰ることばかりに気を取られてたけど……それもひとりじゃ難しいかもしれない』


もっと、この学園の人と仲良くなれば_


情報収集にはやはり人脈が必要だし、この疑われている状況だととても動き難い。

でもそれだけじゃなくて、私が、私自身が、この不思議な世界……忍術学園を知りたいと思ったのだ。


『でも、まずはどうしたら……ん?』


コツン、と何かが戸に当たる音に私は足を止める。

音からして固いもの……もしかして武器かもしれない。

武器ということは……襲撃?


『ふー』


落ちついて苦無を懐に、竹刀を手にする。

一息ついて、片手で勢いよく戸を開いた。


『こんばんは、どちら様ですか!』



「あー、ざんねーん」

『え……』


隠れる様子もなく、あっさりと出てきたその人を前に拍子抜けして、私は固まる。

飄々とした語り口に、灰色がかった癖っ毛が揺れる。

名前は分からないけど……落とし穴の、あの人だ。


心の中で少しホッとしつつ、私は足元の小さい矢を拾い上げる。


『これ、あなたが?』

「ええ、寝込みを襲おうとしてて。どうもー天女様」

『それ、本人の前で言います?』

「はい」

『はぁ……』


…….相変わらず、変な人だ。

彼は襲おうとしたなんて言うけど、はっきりとした殺意も感じられない。


『この前に引き続き、一体なんなんですか。殺したいならもっと隠密に……詰めが甘いです』


名前も知らない癖に、ちょっと毒舌なのかもしれない。
けれどこの前私は穴にはめられたんだし、おあいこだろう。

すると彼は、表情を変えることなく口を開いた。


「それは僕の台詞ですね。あなた、今日白昼堂々死んだふりをしていたとか」

『はぁ!?死んだふり!?』


思わず、素っ頓狂な声が出る。

彼は言葉を続けた。


「ええ。そんないつ殺されてもおかしくないことする人に詰めが甘いなんて言われたくありませーん」

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海鈴(プロフ) - 麗羅さん» わぁあありがとうございます!性格についてはかなり考えたので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります! (2022年1月28日 18時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - コメント失礼します!すごく面白いです!夢主ちゃんが剣道が得意で明るい性格っていうのがすごく好きです!更新楽しみにしています! (2022年1月27日 22時) (レス) @page2 id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - みこちさん» ありがとうございます! (2022年1月14日 22時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» もしも、この作品にゲストが出るとしたら、雑渡さんか兵庫水軍の皆さんが現れてくださったら…なんて考えてしまいます。応援します! (2022年1月13日 12時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» 後も一つ、犬夜叉と鬼狩りという奴も在りますよ。出来ますれば、コメントを頂けたら嬉しいです。どんなコメントでも大歓迎です。 (2022年1月11日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年1月9日 22時

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