総髪揺らして竹刀片手に、天女さまが通る！【忍たま乱太郎】

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『ここは……』


山本さんに連れてこられたのは、学校のほぼ真ん中に位置する、かなり広めの部屋の前だった。

それに中からは……なんだかとてもいい匂いがする。


なんだろうと様子を伺っていると、山本さんは私の腕を引いた。


「ここは食堂よ。昨日からずっと眠ってたんだから、お腹空いてるでしょ？」

『ああ、言われてみれば……！』


そうだ私、学校から帰る途中にここに飛ばされて……

となれば、昨日の夜から何も食べていないことになる。


この状況を受け止める為に頭もいっぱいで、全然そこまで気が回らなかった。


「ここの食堂のおばちゃんなら、なんでも食べたいもの作ってくれるのよ。それにすごく美味しいんだから」

『でも、忙しくないですか？』


この学園には相当人数がいるみたいだし……

私一人の為に作ってもらうのは、なんだか申し訳ない。

けれどそんな私の心配はよそに、山本さんは首を横に振った。


「大丈夫大丈夫！夕飯支度にはまだ早いわよ。ほら、入った入った！」


『わっ！』


勢いよく押され、滑り込むように食堂に入る。

どうすれば良いのか分からずうろうろしていると、カウンターのようなところから、女の人が顔を出した。


「あらま、見ない顔ねえ」

『あ、こ、こんにちは！その、』


髪を下で結び、片手にはしゃもじを持っている女の人。


この人が、食堂のおばちゃん？

というか私のことをなんて説明すれば……



何も言えずに迷っていると、私に続いて山本さんが入ってきた。

そして、カウンターの女の人に手を振る。




「こんにちは、突然ごめんなさいね！この子ね、新入りなんだけど昨日から何も食べてないみたいなのよ」



山本さんは、私のことを当たり前のように"新入り"と紹介した。


……まるで、仲間みたいに。

小さな事だけどやっぱり嬉しくて、思わず笑みが溢れる。


山本さんの話を聞いた食堂のおばちゃんは、まあ、と私に目線を移した。



「それは大変！何か食べたいものある？作ってあげるわ」

『え、えっと』


さて、どうするか。


私は頭を巡らした。


本当に今食べたいもの……それはきっと、この時代にはまだ存在していないはず。

かと言って他のとなると、この時代には逆に何があるんだろう。


「なんでもいいのよ。麻婆豆腐でも練り物でも、ハンバーグなんかも作れるけど」

『……えっ！？』


ハン、バーグ……って、あのハンバーグ？

ひえとかあわとか、魚じゃなくて？


私は目を見開いた。

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