百四十一 ページ9
遥「…は?何、言って」
胡蝶「信じられないなら門前に行きな!」
遥「っ!一期!」
一期「はい!」
まさか。
そんなことあるわけが無い。
前の奏先輩のお兄さんみたいに、誰かに操られてるとか。
そもそもそっくりさんだとか。
きっとそう。
そうであって。
そんな願いも、目の前に広がる光景に虚しく砕かれた。
遥「…ひ、な…?」
大軍の中心にいるのは、紛れもなく雛。
わかっている。
わかってるけど。
違うと、言ってくれ。
雛芥子「…ごめんね、遥ちゃん」
遥「…怪我は…」
雛芥子「嘘」
遥「…なんで…?なんでこんなことになってんだよ…!」
そう問うと、雛は感情の読み取れない笑顔を浮かべながら言い放った。
雛芥子「突撃!!」
*
鬼神丸「主殿!こっちに来い!」
遥「…」
一期「っ!」
呆然と立ち尽くしている遥殿に真っ先に駆け寄る。
一期「遥殿!こちらへ!」
手を引くが、弱々しくされるがままになっている。
敵軍は他の者に任せ、私と鬼神丸殿は奥にある審神者部屋へ入った。
鬼神丸「っ…くそ、完全に騙された。まさかあちら側の者だとは」
一期「ですな」
鬼神丸「奏殿のことは、奏殿の兄達が何とかすると言っていた。1番上の兄とは面識があるが、実力のあるお方だ。心配は要らんだろう」
一期「ひとまず安心、というところでしょうか」
鬼神丸「あぁ。だが…」
我々は遥殿の方を見た。
遥殿の目は、黒く淀んでいた。
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作者名:桜海 | 作成日時:2019年1月31日 0時