溺れて、みずうみに (ページ35)

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私が中を見ないで捨てているのをどこで知ったのか、ついに黒い封筒は消えて、手紙の中が見えるように郵便受けに入れられるようになった。

〈今日の服、可愛かったね〉

〈スーパーで買ったものを見ると、今日の夜ご飯はカレーかな〉

〈どうしてこっちを見てくれないの〉

もはや狂気の沙汰だ。

ついには〈歌声キレイだね〉という意味のわからない内容のものまで送られてくるようになった。

私を誰かと間違えてストーカーしているのでは、なんて思った。

でもその日、気分を紛らわせようとYouTubeで流していた曲を口ずさんだ時に気がつく。

「…うそ、でしょ。」

もしかして盗聴…？

ということは、ストーカーが始まってから、もしかしたら亮平との電話も聞かれていたのかもしれない。

今思えば、遊園地に行く時。

なぜ誰かとどこかに行くことをストーカーは知っていたのか。

前から盗聴されてたんだ。

だんだん自分の家ですら怖くなってきて、必要なものだけ持って無言で外に出て、近くの漫画喫茶に逃げ込む。

安心できるところなんてなかった。