溺れて、みずうみに (ページ17)

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次の日の図書館には、カウンターで突っ伏している河原井さんの姿が見えた。

明らかに二日酔いで、二日酔いの日の河原井さんはめんどくさい。

それを知っていたので、今日は関わらないようにした。

「あ。ねぇねぇAちゃん。」

「なんですか？」

「あれ。」

河原井さんは青白い顔で1人の男の人を指さす。

そこには、私の大好きな兄が立っていた。

「お兄！」

声をかければ、顔をユルユルに緩めて笑いかけてくれた。

「A！」

「どうしたの？」

「んー？仕事で近く通ったから、顔見に来た。」

営業の仕事をやっている兄は心做しか疲れているように見えるけど、私に会えば吹っ飛ぶと言ってくれていたので、無理をして来ているわけではないだろう。

「ご飯ちゃんと食べてるか？」

「うん、食べてるよ。毎日自分で作ってる。お兄食べに来る？」

「おっ、マジ？んじゃあ今日行こうかな～。」

「本当？やった。」

小さい頃からずっと一緒の兄のことが私は大好きで、兄も可愛がってくれた。

だから、お互いの変化には敏感で、兄は心配そうに私の顔を覗いた。

「お兄には言えないこと？」

「んー、まだ大丈夫。」

「そっか。」

きちんと私のことを見て、向き合ってくれる。

私も兄のように、亮平に向き合えるだろうか。