ポータルの扉を叩けば

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この世界に来て一週間が経った。



未だに帰る方法は見つからず、

壱馬くんに歓迎されていないことがずっと引っかか

ってるもんだから、余計に焦る。





しかも、外に出ることを許されていないもんだから

情報も何も無く、ただここで頭を抱えて考えるしか

ないのだ。






だから私は、今日も座ってドラム缶の中から燃える

火を見てぼーっと考えていたら、





北「A？」


「ん？なに？」



隣に座ってきた北人くんをチラッと見て、また火を

眺める。





一週間も経てば、壱馬くん以外とは打ち解けられる

ようになり、今じゃすっかり居心地も良くなってきた。






北「大丈夫？なんか、元気ない。」




「大丈夫だよ！強いて言うなら、帰る方法が思いつ

かなくてちょっと、ヘコんでただけ。」



私は、笑ってごまかした。





北「もう…、ずっとここにいればいいじゃん。」



北人くんの目は、火から私に移る。



「えっ…でも…、」





そしてゆらゆらと揺れる炎で、オレンジ色に反射し

た北人くんの顔が、なぜかだんだんと近づいてくる。




「ちょっ…、北人くん？！」




私は慌てて座ったまま後ずさりすると、






慎「はいそこまでー。それ以上は壱馬さんに怒られ

ますよ。」



私と北人くんの頭上から、慎くんの声が。




「慎くん！」


北「なんだよ、邪魔すんなよー。」




慎くんは私たちの頭上にある、消防車のはしご部分

から飛び降りて、



慎「Aも油断しすぎ。北人さん、いつものことで

陣さんが呼んでます。」





北「はぁ…、タイミング悪っ。わかった。」




そう言って、北人くんはスタスタと奥へ消えていく。






「ありがとう！」


北人くんが見えなくなったのを確認して、慎くんに

お礼を言う。





慎「さっきも言ったけど…、Aは油断しすぎ。も

う少し警戒心もって？特に北人さんは、あぁいう人

だから。」




「どんな人なの？」



慎「悪い人じゃないんだけど、慰めるやり方が俺ら

とは違うから。」




そうか…、違うのか。え、でもどんな風に？





「どんな風に違うの？」





慎「えっ？！それはっ…その…、察してよ！！」




耳が赤くなる慎くんに私は、全然わかんないから！

とバシバシ彼の肩を叩いていると、





壱「おい、俺の弟いじめんな。」




どこからともなくやってきた、壱馬くんが登場した。

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