ポータルの扉を叩けば

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慎「だから今はあんなに怒ってても

ほんとは内心、ハラハラしてたと思うよ。」



慎くんはなぜか、ニヤッと笑い部屋を出て行った。






「はぁ…。久しぶりに会えたのに怒らせちゃうなん

て…。」




私は布団を頭からかぶり、自分の軽率な行動を深く

反省した。







それから私はまた眠ってしまっていたらしく、良い

匂いがして目が覚める。



我ながら食い意地を張ってるな〜と感心だわ。



「ん…、良い匂い…。っえ？！」





ふと足元を見れば、壱馬くんがベットに突っ伏して

いた。



だけど、疲れているのかその目は固く閉じられている。




「やっぱり帰りたくないなぁ…。」



壱馬くんの寝顔を見て、本音がもれる。





遠距離どころではなくなる、この現実。


この世界を出たらたぶん、いや絶対二度と会うこと

はない。





そんな片思い、たぶんこの世で私しかしていないと

思う。





「どうしたらいいんだろう…。」



壱「なにが？」



「わぁあ！！」



ぱちくりと目を開けて、突っ伏していた身体を起こ

して伸びをする壱馬くん。




「ごっごめん、起こして…。」



壱「いや、うたた寝しちゃってたから逆に起きれて

良かったわ。」





あ、そうだ。と席を立ち、壱馬くんはサイドテール

にあるスープを手に持つ。




壱「ん。食べろよ、元気でるぞ。」




「ありがとう…いたたっ。」



器を受け取ろうと前屈みになった瞬間、痛む身体に

つい悲鳴をあげる。




壱「痛いのか？」



「大丈夫！ちょっと角度によってだから。」



するとおもむろに私の真横に座り、ほら。とスープ

の入ったスプーンを顔の前に持ってきた。





「なななななに？！」



壱「痛いんだろ？食わしてやるよ。」



「いやいーよ！！大丈夫、自分でできるから！」



そんな甘えというか、手取り足取りされるとこっち

の心臓がもたない。




壱「んだよ、人がせっかく言ってんのに。」


ふてくされる壱馬くん。




え、私が悪いの？って空気になって居心地悪い。




「…わかったよ…。でもジロジロ見ないで！」


壱「なんだよそれ。笑」





この距離でさえドキドキして無理なのに、あーんし

て食べさせてもらうなんて、もっと無理！！





なんて思ってる矢先、


壱「ほら、冷めたらまずくなるぞ。」



と、スープを口に運んでくれる。



「ん！美味しい！」




壱「俺が食べさせてやってるからだろ。」



「なにそれ。笑」

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